SEARCH
“主張しない伝統”が、新たな価値を生み出す。三越伊勢丹『nippoppin』新商品を手掛けたデザイナー・ユイマナカザト氏が語る【前篇】

三越伊勢丹が運営する「日本ならではの素晴らしいモノづくり」と「日本の優れた感性」を融合させたオリジナル雑貨ブランド『nippoppin』は、国内外で活躍するファッションデザイナーであるユイマナカザト氏とコラボした新作バッグを、伊勢丹新宿本店で開催されるイベント「アート&クリエイション」において期間限定で販売する。

〈nippoppin〉ホログラムトートバッグ(後列)とショルダーバッグ(前列)

 

今回販売されるのは、「〈nippoppin〉ホログラムトートバッグ」(黒・白/税込70,200円)と、「〈nippoppin〉ホログラムショルダーバッグ」(黒・白/税込59,400円)の2商品。水面に反射する光とプールバッグをイメージし、シワ加工を施したホログラムフィルムを透明なポリ塩化ビニルと重ねた新しい素材を採用。

ユイマナカザト氏のオリジナル素材であるホログラムを生地にシワを施すことで、今までにない光の乱反射を生み出しているのが印象的だ。また、バッグの底鋲には有田焼を用いており、バッグの素材感に合わせ特別に調整した釉薬で深みのある光沢感を表現している。

ホログラムという先進技術による未来感のあふれる素材と、有田焼という日本の伝統的な技術に裏打ちされた素材を掛け合わせることで、日本の老舗メーカ―や伝統工芸などが持つ上質な技術などの「伝統」と、ポップカルチャーやアーティストなど現代日本の感性を活かした「ポップ」を融合した型破りなブランドである「nippoppin」の世界観を絶妙に表現した意欲作となっているのだ。

ユイマナカザト氏は、これまでレディー・ガガ、ファーギー、EXILE、三代目J Soul Brothersなど国内外の有名アーティストのステージ衣装を手掛けてきたほか、2016年7月にはパリ・オートクチュール・ファッション・ウィーク公式ゲストデザイナーの一人に選ばれ、日本人として史上2人目、森英恵氏以来12年ぶりの快挙を遂げた、日本を代表するファッションデザイナーのひとりだ。そのユイマナカザト氏が、日本の伝統と現代的なポップカルチャーの融合という「nippoppin」が持つコンセプトをどのように解釈し、どのような思いで商品に表現したのだろうか。その制作秘話について話を伺った。

 

ファッションデザイナーのユイマナカザト氏

 

●有田焼の窯元と一緒に生み出した“伝統とポップの融合”

――アーティストのステージ衣装やオートクチュールなど“一品もの”を手掛けてきたナカザト氏が、今回バッグという量産商品のデザインを引き受けることになったのはなぜか。

ナカザト氏:実はホログラム素材を活かした量産商品の制作は1年前ほどからトライしており、その過程で今回のようなコラボのお話をいただきました。今回の制作では「日本ならではのモノづくり」というテーマがあったのですが、私自身も以前から “日本の伝統的な技や素材の良さを取り入れたメイドインジャパンの商品”を生み出したいという意欲で作品作りに取り組んでいたため、お互いの方向性が同じだと感じて引き受けることにしました。

――日本の伝統と現代的なポップカルチャーの融合というテーマを受けて、まずはどのようなアイデアや世界観を思い付いたのか。

ナカザト氏:今回は、ホログラム素材を基調としながら日本の伝統文化を取り入れていくということで、佐賀県の伝統的な磁器である有田焼をバッグの底鋲のパーツに用いるというアイデアにトライしました。私自身、日本の伝統文化から新しいインスピレーションを得たいという思いから、全国各地の伝統文化に触れる機会を作ってきたのですが、その中で有田地方の窯元さんを訪問したときから、この有田焼が持つ良さを作品に取り入れたいという思いをずっと暖めていたのです。そこで今回このコラボの話をいただいたときに、すぐに“有田焼を使いたい!”とアイデアが生まれました。

実際に、有田焼という伝統的な技術や素材を取り入れるにあたって、ホログラム素材が持つ質感とどのようにマッチさせるかを模索する中で、窯元さんから釉薬(ゆやく:有田焼を本焼きする前に塗る液体。焼くと透明のガラス質になり焼き物の肌につやが生まれる)を工夫することでブルーとパープルが混ざり合ったような玉虫色の色味を生み出すことができる技法を紹介していただきました。白の場合にも、有田焼の底鋲はただの白ではなく複雑な光り方をするようになっています。有田焼とホログラム素材をどのように組み合わせれば相性が良いかを窯元さんと一緒になって試行錯誤してきたのです。

伝統文化を取り入れた経緯を語るナカザト氏

 

●比類なき表現は、長年の試行錯誤から生まれる

――ステージ衣装やオートクチュールの作品と違い、量産商品は様々な消費者が様々な利用シーンで使用することを想定して耐久性や使い勝手なども意識した制作をしなくてはならない。その点でどのような苦労があったか。

ナカザト氏:基本的には“一品もの”であっても機能性や耐久性には非常に高い意識を持って制作を行っています。その点においてはステージ衣装やオートクチュールの作品と量産商品で大きな違いはありません。

――ホログラム素材や全体のデザインではどのような点にこだわったのか。

ナカザト氏:今回は、夏のリゾートで使ってもらえるようなアイテムを目指して、透明感のある質感や海やプールに持っていった際にマッチするようなデザインの方向性にしました。そして、ホログラム素材はあえて表面をクラッシュさせるシワ加工を施して光の乱反射を生み出すことで、夏のリゾートに持っていった際に場面の雰囲気に映えるような華やかさを狙いました。昼の自然光はもちろん、夜の照明の光が当たると、とても美しい輝き方をしてくれます。例えば夜のビーチサイドバーなどに持っていった際に雰囲気を盛り上げたり、リゾートという非日常を楽しみたいという気分にマッチしたりするようなアイテムになればいいですね。

 

【後篇】へ続く・・・

rss follow us on twitter
access ranking
  • daily
  • weekly
  • monthly
fb_trend
  • Techable