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学校法人先端教育機構

小中学校における生成AI活用の実態を調査

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児童生徒の「ブラウザAI要約」利用率は約4割、浅い学びの懸念も

社会人向け総合専門職大学院 社会構想大学院大学(学校法人先端教育機構、東京都港区、学長:吉國浩二)の中川哲教授と上越教育大学大学院の榊原範久教授の研究チームは、生成AIの教育利用に関する実態調査を実施し、小中学校現場における「ブラウザAI要約」の利用実態を明らかにしました。
本調査の詳細な報告は、2025年12月27日発行の『月刊先端教育』2026年2月号に掲載されています。

■調査目的

本調査は、GIGAスクール構想のもと情報端末の活用が進む小中学校において、児童生徒による生成AIの利用実態を明らかにすることを目的としています。特に、検索結果に統合される形で自動表示される「ブラウザAI要約」に注目し、その利用状況・指導体制・学習への影響について、教育現場における実態と課題を把握することを目指しました。
近年、生成AIが学習の支援ツールとして期待される一方で、誤情報のリスクや批判的思考の低下なども指摘されています。本調査では、教員が生成AIの利用をどのように捉え、どのように児童生徒の学びに影響を及ぼしているのかを明らかにし、「浅い学び」に陥らないための教育的対応や指導方針の検討材料とすることを意図しています。

■調査概要
・調査時期:2025年10月下旬~11月下旬
・対象地域:関東・近畿・北陸の複数自治体(小学校・中学校・義務教育学校)
・回答数:合計1,090名の教員
・調査方法:Googleフォームによる4件法+「分からない」、自由記述あり
(※教員の自己申告によるため、アクセスログではない点に留意)

■主な調査結果

調べ学習に関するデータ
・ブラウザ検索を調べ学習に活用したと回答:教員の71.5%(779名)

ブラウザAI要約に関するデータ
・ブラウザAI要約を推奨したと回答:10.1%(85名)
・推奨しないと回答:84.3%(657名)
・児童生徒が教師の指示なく使用(自主利用)していると回答:38.5%(300名)
 ※学校種毎では、小学校33.0%、中学校51.3%、義務教育学校36.4%
・児童が要約内容をそのまま用いる:38.6%(301名)

対話型生成AIに関するデータ
・生成AI要約を推奨したと回答:8.7%(69名)
・推奨しないと回答:88.6%(690名)
・児童生徒が教師の指示なく使用(自主利用)していると回答:18.2%(142名)
 ※学校種毎では、小学校11.3%、中学校34.7%、義務教育学校28.6%
・児童が要約内容をそのまま用いる:21.6%(168名)[中哲2]

※ブラウザAI要約の自主利用率は、対話型生成AIの約2倍にのぼる点が特に注目されます。

■考察・課題

〇教員の多くが生成AIの利用を「推奨しない」とする一方、現場では“シャドー利用”(教師の指導外での使用)が広がっており、方針と実態に大きな乖離が発生。
〇ブラウザAI要約は、検索結果の上部に自動表示されるため、児童生徒が「検索→AI要約を結論として丸写し」する傾向があり、本来必要な比較・吟味・情報整理のプロセスが省略される懸念が浮上。
〇特に中学校では、自主性の高まりや提出物へのプレッシャーが複合的に作用し、無批判な情報受容=「浅い学び」につながるリスクが高まっている。

■今後への提案:「深い学び」設計のために

研究チームは、生成AIを学習に活用しつつ、思考を深めるための具体策として次の3点を提案します。
1.生成AIが要約した情報の一次情報源へさかのぼる工程を記録する
2.参照・引用箇所、比較した観点を提出物に含める
3.AIの出力を“結論”ではなく“参考の一つ”として扱う姿勢の育成

■ 本調査に関する詳細
本調査の全文は、『月刊先端教育 2026年2月号』(2025年12月27日発売)にて掲載されています。教育現場や政策に関わる皆様にとって、AIと学びの未来を考える上での貴重な資料となることを期待しています。

■ 社会構想大学院大学について(※1)2017年4月に東京・高田馬場に開学。学校法人先端教育機構の「知の実践研究・教育で、社会の一翼を担う」の理念に基づき、組織の理念を基軸に広報・コミュニケーション戦略を立案・実行する人材の育成を目指し、コミュニケーションデザイン研究科(※2、3)を設置しています。修了者には、専門職学位の「コミュニケーションデザイン修士(専門職)」(Master of Communication Design)が授与されます。また、2021年4月に開設した実務教育研究科(※2)では、実践知の体系化により新たな知識を確立し、それを社会へと実装するための教育・人材育成を行う高度専門職業人を養成します。修了者には、専門職学位の「実務教育学修士(専門職)」(Master of Professional Education)が授与されます。

そして、3研究科目となる社会構想研究科を2024年4月に開設いたしました。本研究科は、社会学の観点から「社会の理想の姿」を見定め、その実現のために「社会や組織のグランドデザイン」それ自体を練り上げることができる高い専門性を備えたプロフェッショナルや、社会的起業によって経済活動と社会貢献の好循環を実現できる人材の養成を目指します。修了者には、専門職学位の「社会構想修士(専門職)」(Master of Social Design)が授与されます。
本学の附属研究機関である「先端教育研究所」では、自身の実践知を社会で役立てる気概を持った多様な人材を育成する「実務家教員養成課程」、総務省が令和3年度から設けた「地域プロジェクトマネージャー」の任用制度に合わせ、地域のプロジェクトを牽引できる「ブリッジ人材」の育成を目指す「地域プロジェクトマネージャー養成課程」、2024年4月から社会教育行政を含めた専門性を身に付けて、地域コミュニティにおける学びを基盤とした自律的・持続的な活動をできる社会教育人材の養成を目的とした「社会教育士養成講座」、2025年2月よりICTを活用した教育改革を推進できる専門的リーダーの育成を目指す「教育CIO養成課程」を開講いたしました。
その他詳細は大学院HP( https://www.socialdesign.ac.jp)をご覧ください。
※1)2023年度公益財団法人大学基準協会による大学評価(認証評価)で「適合評価」
※2)厚生労働省の教育訓練給付金(専門実践教育訓練)に指定(国から最大112万円を給付)
※3)公益財団法人大学基準協会の「広報・情報系専門職大学院認証評価」で初の適合評価

■学校法人先端教育機構の概略
[名  称]学校法人 先端教育機構
[理事長]東 英弥
[所在地]東京都港区南青山3-13-16
[設置校]
・事業構想大学院大学
 本部:東京都港区南青山3-13-16
 拠点:東京、名古屋、大阪、福岡、仙台
・社会構想大学院大学
本部:東京都港区南青山3-13-18
[附属機関] 事業構想研究所、先端教育研究所
[出  版] 月刊事業構想、月刊先端教育、書籍等

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