子どもたちの声に耳を傾け、最大限の利益を

※本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が編集・翻訳したものです。
※本信の原文は、http://www.unicef.org/media/media_90818.htmlからご覧いただけます。
【2016年4月6日 ジュネーブ発】
ユニセフ(国連児童基金)は、欧州連合(EU)とトルコの合意の一環として進められている、ギリシャの島々からトルコへの難民・移民の送還プロセスに関して、各国には、すべての子どもたちを保護およびケアし、子どもたちの将来を決定するにあたって子どもたちの声を十分かつ公平に聞くという義務があることを再度呼びかけています。
ユニセフは、保護者の同伴のない、または保護者と離ればなれになった子どもたち、障がいのある子どもたち、ストレスや心的外傷に苦しむ人々、妊娠中の女性、出産したばかりの女性を含む、特定の脆弱なグループに対して、“例外的な国境手続”つまりは送還を免除すると定めた、4月4日発効のギリシャの新しい法律を歓迎します。しかしながら、さらなる取り組みが必要です。
現在、2万2,000人以上の移民・難民の子どもたちがギリシャで足止めされており、先月合意が発効されて以降、先が見えない状況と拘留状態にさえ直面しています。

ユニセフは、国際法および欧州の法律に従って、それぞれの子どもにとっての最大の利益を見出し、適切な宿泊施設、健康管理、人身売買や搾取からの保護を含めて、すべての子どもたちの基本的なニーズを満たすために、十分に管理されたプロセスが導入されることを求めています。
武装集団への徴用や強制的な結婚の脅威に直面した場合など、子どもたちには国際的な保護を求める特定の根拠があります。欧州委員会は、送還が国際法および欧州の法律に従って進められることを規定しています。
「幼い子どもも若者も、家族がいようといまいと、いかなる子どもに関するあらゆる決定は、その子どもの最大限の利益により導かれなければなりません」と、ユニセフのヨーロッパ難民危機特別 コーディネーターであるマリーピエール・ポワリエールは述べています。「子どもたちの声に耳を傾ける必要があります。送還の軽率な決定は性急な結果を招き、子どもたちを恐怖と暴力の地へ戻すことになります。子どもたちは、出身に関わらず、常に基本的なサービスにアクセスできなければなりません」
保護者の同伴のない、または保護者と離ればなれになった子どもたちに対する保護や支援は、既にギリシャの対応能力を超えています。収容する場所がないため、ますます長期間にわたって、多くの子どもたちが一時的な「保護拘置」や、閉鎖的な一次収容施設や警察施設内で、事実上の拘留状態に置かれています。
「ユニセフは、一部の子どもたちが移民という立場ゆえに拘束されているという報告に関して懸念しています。戦争から逃れ、生存を求めるのは決して犯罪ではありません」とポワリエールは言います。

保護者の同伴のない、または保護者と離ればなれになった子どもたちは、最も弱い立場にあり、ギリシャの難民・移民の子どもたち全体の約10パーセント、つまり約2,000人に相当しますが、全員が登録されているわけではありません。2016年1月から3月半ばまでの間、保護者の同伴のない、または保護者と離ればなれになった1,156人の子どもたちがギリシャで登録されました(登録率は2015年同期比で3倍以上の増加)。
ギリシャの島々からトルコへの最初の送還は、今週イズミル県のディキリ港でユニセフのパートナー団体によって監視されました。ユニセフは人道支援を提供するため、トルコ政府当局との緊密な連携を続けます。トルコは現在270万人を超えるシリア難民を受け入れています。
ユニセフは2012年以来、シリア難民の子どもたちとその家族たちを支援しています。昨年、ユニセフは政府やパートナー団体と協力しながら、40万人以上のシリアの子どもたちに対して、教育、保護、基本的な社会サービスに関する支援を行いました。
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)