日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、埼玉県鴻巣市を写真とともに紹介する。
Vol.23/埼玉県鴻巣市
鴻巣市で、旧川里町と旧吹上町を除く、合併以前から変わらない地域を訪れた。江戸時代の中山道は合わせて六十九の宿場町があるが、鴻巣宿は日本橋から7番目の宿場町として整備されたまちだ。散策をしながら、かつての名残を感じるような古い建物もいくつか残っていた。
「川幅うどん」について。埼玉県は隠れたうどん国でもある。そして、川幅うどんは、鴻巣市を流れる荒川の川幅が、日本一の幅だと認定されたことから誕生した、平打ち麺のうどんのことだ。歴史は比較的浅いけれど、とてもよく考えられたグルメだなあと思った。訪れたお店では「温かい」と「冷たい」を選ぶことができて、冷たいうどんにした。幅の広い特製の平打ち麺はコシがしっかりしていて、冷たさが口の中で広がり、喉越しもとても良い。さすが王国だった。
もちろん、鴻神社に象徴されるように、長い歴史も感じられる。鴻神社の境内にはこうのとりの銅像や、絵馬のように願い事を書き入れる、卵の形をしたものもあった。昔ながらの気配と、新しさのバランス関係が、歩いていて心地よいまちだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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