日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧横芝町(横芝光市)を写真とともに紹介する。
Vol.157/千葉県旧横芝町(横芝光町)
以前、横芝光町を訪れたときに、不思議な地名だと思った。少しだけ長い地名だと思ったのだ。今ならその理由もわかる。かつて旧横芝町と旧光町が存在していて、それらが合併したのだと。日本にはそうした地名がいくつもあるし、地元なのか訪問者なのかによって、地名から感じる印象もまるで異なるだろう。土地と時間の流れに、地名は深く結びついていると思う。
そして、まずは内陸側のふれあい坂田池公園を訪れた。陸上競技場や野球場が併設されていて、中心には坂田池も広がっている。池の向こうにこんもりした小さな山があり、その影が水面に写って影をつくり出し、印象的な風景だった。
次に横芝駅の周辺を訪れる。横芝駅は、千葉県内最古の駅舎だそうだ。2022年で125周年を迎えている。懐かしさがあったし、そこに駅を利用する制服姿の高校生たちが集まっていて、建物は古くても今という時間が流れていた。
そして、屋形海岸へ向かった。砂浜の面積が多く、水平線はスッと遠くまでのびていて、壮大な九十九里の地形を感じるばかりだ。
また、海岸には句碑があり、「稲架の続きに母あり響く海もあり」と刻まれている。地元出身の俳人である伊藤白潮の句だ。ふるさとを思い、ひびく九十九里の海を想起させる。
低い空に浮かんでいる小さな雲たちは、風に乗って素早く流れていた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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