日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧明野町(筑西市)を写真とともに紹介する。
Vol.183/茨城県旧明野町(筑西市)
旧関城町から、旧明野町へやってきた。町域の東側には桜川が、西側には小貝川が南流している。旧明野町は川に挟まれた低台地だ。道中は穏やかな水田の風景が続いていて、風も凪いでいたので空がくっきりと水田に映り込んでいた。
徐々に苗が大きくなると、水が見える範囲が狭くなり、やがては一面緑で何も見えなくなる。あたりまえの風景ではあるけれど、だからこそ、水田の風景は今しかない姿だと思った。そして、まちの南東には筑波山が大きく聳えており、とても強い存在感だ。市街地から筑波山の入り口までは、およそ6kmほどである。
明野支所まで行ってみる。1階建ての屋根の低い建物だ。どうして支所に行ってみるのかというと、その周辺にまちの名残が多く残っていることが多いから。もちろん、まったく市街地とは関係のない場所に立地している支所もあるものの、明野支所の近くにも古い建物が多く並んでいた。すでに閉まっているようなお店もあった。現在は筑西市ではあるけれど、旧明野町というまちの姿を、ここで想像するのだった。それから周辺を散策しつつ、宮山ふるさとふれあい公園へ向かう。公園からもやはり、水田を広く見渡すことができた。空の青と木々の影。そして今度は、水田の苗が濃い緑色に映った。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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