日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧石下町(常総市)を写真とともに紹介する。
Vol.188/茨城県旧石下町(常総市)
旧千代川村から、次に常総市の旧石下町を目指した。下妻市と旧水海道市の中間にあって、鬼怒川沿いにまちが広がっていることから、舟運が利用されながらの暮らしがあったのかなあと感じられる。
かつて、この地域には「豊田城」と呼ばれる城があった。その天守閣を模した建物が「常総市地域交流センター」としてつくられており、外観は天守閣そのもので、迫力に驚かされる。平成4年にオープンしたもので、7階建てで資料館や展望台もあった。
そして、ちょうど城の前で集合写真を撮っている、自転車のグループの方々がいて、自分が声をかけて写真を撮った。男性のサイクリストたちで、年代は40代ぐらいの方から、すでに仕事を退職されているような方まで幅広い。自転車を共通の趣味として集まって、栃木県からここまでサイクリングに出ていたというのだ。会話も弾んで楽しいひとときになった。
自転車乗りの方たちの中で、最も会話をした男性は、75歳の方だった。「後期高齢者だから」と笑っていたけれど、75歳には見えなかったし、とっても元気である。「奥さんにはよく怒られるねえ」「趣味がなきゃダメだよ」といくつか人生のアドバイスをいただいた。
その後、石下駅周辺にも訪れた。豊田城が見えなくなると、関東平野の落ち着いたまちの気配がふわっと現れる。戸建ての住宅も並び、日常の声が聞こえてきた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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