日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧高郷村(喜多方市)を写真とともに紹介する。
Vol.260/福島県旧高郷村(喜多方市)
旧高郷村は2006年に旧熱塩加納村、旧塩川町、旧山都町、喜多方市と合併し、喜多方市となった村だ。会津坂下町の市街地から山間部へ入り、只見川を渡る。ここが只見川のどれぐらい上流に位置するのか、下流に位置するのかはわからなかったものの、川の流れはゆったりと静かで、空の雲がくっきりと水面に映り込んでいた。
その後、高郷総合支所を訪れて、荻野駅へ。市街地は静かな暮らしの時間が流れていた。喜多方市、という大きな括りでは出会うことができなかったまちかもしれない。
高郷総合支所の前には、「高郷村合併50周年記念碑」が置かれていた。読んでみると、高郷村もかつては複数の村が合併してできた村であること。そして、平成の大合併で2006年に喜多方市と合併することに伴い、これまでの功績を讃え、50周年の記念碑が建立されたと。変遷というものは、時間が経てば経つほど、後世を生きる人々に忘れ去られてしまう。それは同時に、今という時間が進んでいるということでもある。しかし、たとえ小さな土地だとしても、その土地で生きた人々による小さな歴史が積み重なり、今という時間があることを、忘れてはいけない。そして、当時の「今」を生きた人々が残した思いを大切にすることは、同じように私たちが「過去」の人間になったとき、どう思われるのか、ということと同義だ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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