日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧船引町(田村市)を写真とともに紹介する。
Vol.271/福島県旧船引町(田村市)
田村市の中で、最後に訪れたのは旧船引町だ。田村市で最も人口の多い地域だと思う。
また、旧船引町の市街地に来るのは、3回目だ。だから、覚えている景色もあった。特にガストが目の前にある団地の風景と、そこから眺めるまちなみは、この町らしい景色だなあと感じていた。
船引駅や田村市役所の周辺をあらためて歩く。住宅がびっしりと並んでいて、商店街の通りは懐かしい。そばには大滝根川も流れており、船にまつわる歴史も感じさせる。そして、次に朴橋(ほおのきばし)のお人形様を目指した。
田村市には有名なお人形様が3体いらっしゃる。お人形様は江戸時代に疫病退散のためにつくられたもので、大きく手を広げ、鋭く睨みをきかす、迫力あるお人形だ。最も有名な「屋形のお人形様」は見たことがあったので、今回は朴橋のお人形様を訪れた。
山奥の遊歩道を進み、さらに階段を登った先に、お人形様は鎮座していた。直接見るとやはり大きい。そして何より、山奥のこの地にポツンと鎮座している様子に、ただならぬ雰囲気を感じてしまう。たとえば民俗博物館で、お人形様と出会う機会もあった。しかしやはり、この土地で見るからこそ感じる迫力があるものだなあと思わざるを得ない。風習というものは不思議で奥が深い。お人形様は、毎年地元の方々によって、衣替えが行われているそうだ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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