日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧小野田町(加美町)を写真とともに紹介する。
Vol.289/宮城県旧小野田町(加美町)
次にやって来たのは旧小野田町。旧中新田町から東へ15分ほど移動するとたどり着いた。鳴瀬川の上流に市街地は位置しており、その周辺では平野もひらけているが、町域全体としては山林も多い。
前回の旅でも訪れた「やくらいガーデン」は、旧小野田町に位置している。ただ、オープンが10時からでまだ時間が早く、天気も曇りなので、今回はガーデン以外を訪れてみようと。「やくらい」というのは標高553mの薬莱(やくらい)山のことを指している。加美富士と呼ばれる地域のシンボルで、晴れた日の姿はとてもうつくしい(今日は曇りだった)。
懐かしい通りを散策する。緩やかなカーブもあれば、急な角度の路地もあった。今どきではない、昔ながらの町のつくりだ。お店には演歌歌手がやってくるポスターが貼られていて思わず目にとまる。
また、国の重要文化財に指定されている、松本家住宅にも訪れた。仙台藩に属した奥山家の住宅として用いられた建物で、茅葺の屋根がずっしりした雰囲気を持っていた。車が一台停まっていたけれど、中に人がいるのかいないのかわからず、静かに散策させてもらった。
見通しの良い道を走っているときは、薬莱山の麓だけ見ることができた。中腹よりも上は雲に覆われていて、全体像を見ることはできない。それでも山の存在感を感じたので、晴れの日にサイクリングなんてできたら、すっごく気持ち良いだろうなあと。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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