日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧田尻町(大崎市)を写真とともに紹介する。
Vol.307/宮城県旧田尻町(大崎市)
今日の天気はどうだろうかと外に出た。水溜りはあるが、道路の中央は乾き始めていて、空も部分的に晴れている。よし、旅を進めよう!
と、朝一番に向かったのは、大崎市の旧田尻町だ。中心部である田尻駅周辺に向かうと、穏やかな集落が広がっていた。左右は建物が並んでいるが、ところどころ家の隙間からは、広大な田園風景が顔を覗かせている。
そして、旧田尻町の田んぼは、連日出会う田園風景の中でも素晴らしいと感じられた。大崎地域の穀倉地帯は「大崎耕土」という呼び名がついている。それは“世界農業遺産”という素晴らしいブランドだ。
とにかく、この辺りの田園風景は、ほかの地域と何かが違う。何が違うのかなあと考えるわけだけれど、この辺りの田んぼは一瞬、歩けそうに見える。緑色がぎゅっーと濃密で、美しく、統一された絨毯に見えるのだった。
また、移動中の田んぼの沿道に、ソテツが並んでいた。いろんな風景があるけれど、この組み合わせはまだ見たことがなくて、思わず足をとめたのだった。ソテツが手前にあってもなくても、田園風景は相変わらず見事だ。そして、ソテツがあると少しだけ海外っぽく見える。たとえば東南アジアの田園風景もそんな感じなのだろうかと、異国を想像したのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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