日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧東和町(登米市)を写真とともに紹介する。
Vol.312/宮城県旧東和町(登米市)
旧登米町から北上していくと、旧東和町に入る。同じく北上川沿いに位置していて、かつては水運で栄えたそうだ。その繁栄の象徴として残っている、「不老仙館」という場所を訪れた。江戸時代の宿泊所として利用された大きなお屋敷だが、見事だった。
門をくぐると、不思議な曲が鳴り始めて、「人がやって来ましたよ」というのがすぐさま伝わる。ちょっとそわそわしたけれど、館内には係のおばあさんが一人いらっしゃって、ひととおり館内を案内をしてくださった。ただ、
「ここ、猫や虫が入るのよねえ」
とおばあさんは仰って、実際に虫が入ってきた。
すかさずおばあさんはキンチョールを用いる。とはいえ、動きを弱めて逃すという心ある裁量で、そのキンチョールを最後まで抱えたまま、案内をしてくださったのだった。
そして、今まで昔の屋敷を見る機会もそれなりにあったとは思うけれど、不老仙館はその中でも忘れたくない立派な建物であった。建物内は広大で、襖や欄間、隅々まで豪華さと迫力があり、圧倒された。まさに、老いることのない館だと思った。
不老仙館を訪れたのち、東和総合支所や、「道の駅 林林館」にも訪れた。道の駅の地図は手書きでさまざまなスポットが詳しく書かれていて温かみを感じたし、英語版の地図もあった。ここにも、海外の観光客がやってくるのだなあと思ったのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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