愛知県名古屋市の「名古屋港水族館」は、飼育係が昨年の第65次南極地域観測隊(JARE65)に参加した経験に基づき企画立案した特別展「飼育係、南極に行く」を、10月12日(土)~令和7年4月6日(日)の期間に開催する。
南極地域観測隊に飼育員が参加
名古屋港水族館南館では、「南極への旅」を展示テーマに、「南極観測船ふじ」が日本から南極へ至るまでの水域の生き物・環境を紹介している。そして今回、「ふじ」の最終目的地である南極・昭和基地に、初めて飼育係が降り立って生物調査や採集活動を行った。
この経験を活かして開催する特別展「飼育係、南極に行く」では、日本初展示となる「メガネカモグチウオ」や、名古屋港水族館初展示の「ボウズハゲギス」など、普段目にすることができない希少な南極の生き物たちを展示する。また、南極での活動をまとめた動画の上映や、活動時に撮影した南極の写真展示も行う。
希少な南極の生き物たちを展示
特別展「飼育係、南極に行く」に展示される生き物はこちら。
「メガネカモグチウオ」は、南極大陸周辺の大陸棚、水深300mまでの海底に棲んでおり、目の後ろに斜めの線があり、眼鏡のつるのように見えるのが特徴。昭和基地周辺では、2023年第64次南極地域観測隊が初めて確認し、今回、初めて生体を日本に持ち帰った。
「ボウズハゲギス」は、頭の形が丸く、てっぺんにウロコが無いことが名前の由来で、銀白色の美しい体色をしている。南極大陸沿岸の水深30mより浅い海に棲んでおり、定着氷(海岸に接して定着している海氷)域では、海氷の隙間に棲んでいる。
「ショウワギス」は、南極大陸周辺の水深約700mまでの海底に棲んでおり、昭和基地周辺の海ではよく見られる魚。展示個体は全長12cmだが、最大で全長約30~35cmになる。英名「emerald rockcod」のとおり、エメラルド色をした眼がきれいな魚だ。
「ナンキョクオキアミ」は、世界中の水族館で名古屋港水族館のみ展示。体長5cm程のエビに似た小さな生き物で、植物プランクトンを胸の足で濾し取って食べる。資源量は数億トンとも言われ、ペンギンやクジラの餌となり、その変動が南極海生態系全体の安定性を左右する「鍵種」と言われており、将来は人類の最後の食糧資源として、国際的に関心を集めている。
特別展の開催場所は、南館2階のエントランスホールとホワイエ、南館3階南極ホールにて。生物の状態により、展示が変更となる場合があるので了承を。
「名古屋港水族館」の特別展「飼育係、南極に行く」に訪れて、南極に生息する生き物たちへの興味・関心を持ってみては。
■名古屋港水族館
住所:愛知県名古屋市港区港町1−3
名古屋港水族館公式サイト:https://nagoyaaqua.jp/news/event/20965
(山本えり)