日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧矢本町(東松島市)を写真とともに紹介する。
Vol.320/宮城県旧矢本町(東松島市)
旧矢本町へ訪れる。東松島市役所付近を巡って、矢本海浜緑地に行こうと思っていたときだった。人だかりを見つけた。何かあるのだろうか。と、よく見ると、航空自衛隊松島基地の「ブルーインパルス観覧駐車場」があるではないか。どうやらここでは、ブルーインパルスの飛行訓練が行われているらしい。
予定変更! ぼくも駐車して、人だかりの方へ向かった。
人だかりに近づくと、なにやらザワザワしていた。ザワザワしているときは、何かが起きそうなときである。思わず近くにいた男性二人に、「飛ぶんですか…!」と尋ねた。
男性は、「ぼくたちもわかんないんですよ」と。
そうか、わからないのか…。柵の奥には、確かにブルーインパルスがいた。停まっている状態でも、ぼくは初めて見た。そして、どうやらここにいる全員が、ブルーインパルスが飛ぶかわからないから、ザワザワしているようだった。
しかし、しばらくして、ものすごい大きなエンジン音が掛かった。
これは、飛ぶのか…!
と、みなさんも、スマホやカメラを準備した。
「ギュイーン!!!」
入道雲の雷よりも大きな音で、別の機体が飛んでいった。
こんなにも大きな音がするのだなと。
その後、ついに、ブルーインパルスが大きな音を立てた。
やはり飛ぶのか!?
むしろ期待していなかったから、余計に期待値が上がった。そして、ついにブルーインパルスが動いた! しかし、なんとそのままゆっくりと車庫に入っていったのだった。
今日は、どうやらこういう日だったようだ。
でも、パイロットさんが何度かこちらに向かって手を振ってくれて、見ていた観客も振り返し、とても温かな時間が流れていた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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