日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧牡鹿町(石巻市)を写真とともに紹介する。
Vol.321/宮城県旧牡鹿町(石巻市)
朝、石巻市のゲストハウスを出発し、牡鹿半島の旧牡鹿町へ。牡鹿半島という名前は聞いたことがあったけれど、訪れるのは初めてだ。
半島の先端付近にある鮎川港を目指す。石巻市街地を抜けてからは、うねうねと山道が続いた。30km以上離れており、同じ石巻市でもまるで違う世界だ。道中は緑の木々の風景、時には青色の海の風景と、どちらも交互に現れた。そして、ようやく「牡鹿半島ビジターセンター」まで到着した。2019年に完成した施設で、館内には牡鹿半島や捕鯨に関する展示もあった。周辺は港町で、網地島や金華山へのフェリーも出ていて、暮らしの気配も広がっていた。
鮎川港からもさほど遠くないところに、御番所公園がある。名前からして良い響きだけれど、ここからは金華山をはじめとする牡鹿半島の風景を眺めることができた。
金華山は霊山と呼ばれていて、船で渡ることしかできない。島に位置する金華山黄金神社は、8世紀からの歴史を持つとされている。御番所公園は遠目から見ただけだけれど、いつか機会があったらと思うぐらい、風格も感じられた。
網地島の南部には、集落もはっきり見えた。太平洋側の海では離島の有人島のイメージを、東京の離島ぐらいであまり持っていなかったが、ここにも暮らしがあるのだなあと、日本の広さを感じたのだった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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