日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、宮城県旧唐桑町(気仙沼市)を写真とともに紹介する。
Vol.332/宮城県旧唐桑町(気仙沼市)
気仙沼市街地でゲストハウスにチェックインし、少し落ち着いたタイミングで、旧唐桑町に行こうかなあと考えていた。そして、気仙沼市街地を巡っていたとき、知り合いの方にお会いした。
「あ、おれ今からつなかん行くよ? なんなら今から電話するところだけど」
という、究極のキラーパスである。つなかんとは、唐桑半島に位置する民宿で、女将の一代(いちよ)さんにも、3年前にお会いしたことがあった。2023年には映画『ただいま、つなかん』も公開された。お会いしたのは一度だったけれど、一代さんの屈託のない笑顔がすごく印象的で、なんて素敵な方なのだろうと心から思った。
そして、来週「かつお祭り」が開かれる週末に、つなかんに宿泊する予定で、その前にご挨拶ができたらいいな、と思っていた。そのときに、知り合いの方と偶然出会って、電話もしてくださって、「全然おっけーだよ!」という流れで、つなかんを訪れることができたのだった。
つなかんに向かう前には、「折石」を見にいった。5年前の市町村一周でも訪れた場所で、誰もおらず、聴こえるのは、波の音と鳥の鳴き声。
そして、つなかんでは一代さんにお会いすることができた。変わらない底抜けの明るさで、ぼくがパワーをもらってしまう。そのあと、知り合いの方に「つなかんサウナ」も見学させてもらう。館内にはつなかんの位置する鮪立(しびたち)集落の山の稜線が描かれていた。その後も、つなかんには泊まらなかったけれど、日が沈むまでここで過ごして、新しく出会った方とも話をして、なんだかあっという間でどこまでも濃くて、大切な時間になった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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