日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧大東町(一関市)を写真とともに紹介する。
Vol.335/岩手県旧大東町(一関市)
この日は2023年の7月中旬にさかのぼる。東北といっても広いので、エリアは限られるけれど、暑い日本列島とは違って、朝から晩までかなりの雨が降った。秋田市の洪水も他人事ではないという気持ちになる。北上川も茶色く染まって増水していて、見ているだけでも轟々と音が聞こえるようだった。
一関市にやって来て、この日は8つのまちを巡った。雨の中でも進むことにしたのは、泊まっていた宿舎の連泊が難しかったことや、事前の雨量レーダーで一関市はまだ大丈夫だと判断したこと、加えて夜に間に合えば、映画『君たちはどう生きるか』を観に行きたかったこと(映画公開日の翌日だった)などがある。
だから、最後は北上市まで移動したけれど、その距離も含めて200km走った。雨の中の旅としては、かなり長距離だったと思う。それでも無事に終えることができてありがたい。
最初に訪れたのは旧大東町だ。遠くの景色は雨で見えないけれど、緑豊かな土地にひっそりと住宅が並んでいる。総合支所の近くにはバスのターミナルがあって、部屋の中で係のおじさんが一人ゆっくりしていた。バスも動きがなくて静かな時間だ。
市街地の中心地は国道343号線が走っていて、道なりに進むと陸前高田市から奥州市へ通じている。すなわち一関市街地とは地形的にやや遠い印象も受ける。とはいえ、一関市の中で最初に巡ったまちだったので、まだまだ一関市を巡ることが精一杯だった。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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