日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、岩手県旧胆沢町(奥州市)を写真とともに紹介する。
Vol.343/岩手県旧胆沢町(奥州市)
奥州市は5つのまちが合併したわけだけれど、水沢市と江刺市という2つの市も含まれている。それは結構珍しいことではないだろうか。と、合併の変遷を読んでみると、いろいろ大変そうであった。
また、この日は7月中旬だった。連休の日本列島の広範囲では暑かったのかなと思うけれど、奥州市は分厚い雲に覆われていて、たまに雨もしくは晴れ、みたいな感じの一日で、厳しい暑さまでは感じられず。
そして、最初にやって来たのは旧胆沢(いさわ)町だ。徳水園という場所で「円筒分水」を見た。円筒分水は、農業用水路へ平等に水を流すための建造物。農業用水の取り分も、争いのもとであった。だからこそ、円筒分水が果たした役割は大きい。
訪れてみるとかなり増水していて、ごおごおと大きな音が鳴り響いていた。円筒分水そのものも大きく、規模としても日本最大級だと。きちんと水が分配されて流れ出ていくのを圧倒させられながら見た。
その後、市街地にも訪れてみた。落ち着いた静かな暮らしが広がっていて、扇状地の緩やかな斜面上で空もひらけている。また、野球場ではちょうどソフトボールの試合が行われていて、盛り上がっていた。平日だったけれど、こうした日常もあるのだなあとあたたかい気持ちに。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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