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ヒートショック危険度をLINEで知らせる「入浴時警戒情報」、鹿児島から全国展開目指す


大阪の医療機関向けソフトウェア会社であるエクセル・クリエイツと鹿児島大学・林敬人教授との産学連携プロジェクトから誕生した「入浴時警戒情報」の登録者数が、2024年12月末に350人に達した。

今後、鹿児島だけではなく、日本全国への展開を目指していく。

LINEでヒートショックの危険度を通知

配信画面イメージ

「入浴時警戒情報」は、ヒートショックの危険指数をLINEで配信するサービス。ユーザーがLINE登録すると、居住地域の入浴時警戒情報が毎日16:00に配信される。また、配信に加えて、ボタンを押すだけで危険度を確認できる機能もある。

同サービスのシステムを開発したエクセル・クリエイツは、登録者の年齢や居住地域、入浴方法などのデータを収集し、それを林教授に展開することによって、効果の分析や精度の向上に役立てている。

開発者は、「高齢者の方々にも安心して使っていただけるよう、国内で95%という高い利用率を誇るLINEをプラットフォームとして選択しました。開発においては、個人情報の取り扱いに配慮しながら地域固有の警戒情報を届けることに苦心しましたが、初回利用時の郵便番号登録や地図選択の仕組みを導入することで、この課題を解決することができました」(一部抜粋)とコメントしている。

これまでの実績と今後の展開

「入浴時警戒情報」の配信対象地域は現在、鹿児島県のみ。配信は2023年11月より実施しており、2024年12月には、登録者数が350人に達した。

2024年には、LINE登録者の大半である60歳代以下の年代において、入浴死者数・割合ともに明らかに減少が見られたそう。今後は、よりリスクの高い70歳代以上の人々に同サービスを広める必要があると考えており、広報活動に力を入れる方針だ。

また、エクセル・クリエイツがシステムから得た情報を林教授に展開することによってさらに精度を高め、別途各県における事例の調査が必要とはなるが、日本全国への展開を目指していくとしている。

「入浴時警戒情報」開始の背景と経緯

毎年冬になるとヒートショックによる死亡事故が後を絶たない。人口動態統計によると、2023年の「不慮の溺水及び溺死」による死亡数8,982人のうち、8割近くの6,333人が浴槽内での溺死及び溺水を原因としており、その9割以上が65歳以上の高齢者だそう。

ヒートショックの原因は、部屋と脱衣所、浴室や浴槽内の急な温度差による血圧の急激な変化。北海道や東北など寒い地域で起こりやすいと考えられがちだが、発生件数は九州や四国の方が圧倒的に多く、鹿児島では毎年200人前後が浴室で突然亡くなっており、その約8割がヒートショックによるものと見られている。

林教授は法医学分野の専門医として、鹿児島県における入浴死の検視事例の調査を行い、ヒートショックで亡くなる人が多い気象条件、年齢、性別、入浴条件などを研究。その知見を生かして2023年に同プロジェクトを立ち上げた。

同プロジェクトでは、鹿児島県内で「入浴時警戒情報」を展開しているほか、鹿児島大学のサイトで情報を公開している。

ヒートショックによる事故防止に貢献するサービス「入浴時警戒情報」の今後に注目したい。

エクセル・クリエイツ:https://www.excel-creates.jp

(Higuchi)

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