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【広島県神石高原町】過疎の町に開院した助産院で赤ちゃん第1号が誕生!人口流出抑制・移住促進に期待

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広島県神石高原町にある「神石のたまご助産院」で、12月15日(月)に第1号となる赤ちゃんが誕生した。

年間出生数20人の町に誕生した「神石のたまご」

神石高原町は、典型的な中山間地域の町で人口約7,600人。年間出生数はわずか20人ほどだ。全国的に医師不足といわれ、特に過疎地域においてはより深刻化している。

神石高原町は、中核都市である福山市の中心部から車で約40分に位置し、急速な少子高齢化と過疎化が進んでいる。町内に産婦人科や小児科は無く、医療サービスを受けるために町外へ出かけるのが当たり前で、人口の転出へもつながっていた。若い世代を中心に、産科や小児科のニーズはあるものの、誰もが誘致は「困難」だと考えていたという。

この現状に対し、神石高原町出身で、まちづくり企業「MSERRNT」の代表である丹下大氏は「故郷を守りたい。神石高原町が変われば日本中の地方自治体が変わる」という強い思いを持っていた。この思いに共感し、立ち上がったのが日下剛医師だ。

首都圏の医療機関で活躍していた日下医師は、家族を伴い神石高原町に移住。開院に向けた準備の傍ら、住民・女性・子ども・助産師など、めざす取り組みについて、町内外で地道に説明しながら、賛同者を増やしてきた。



そして9月2日(火)に産婦人科を開院。続いて10月2日(木)に助産院を開院し、11月4日(火)に小児科外来を開設した。

生まれたばかりの赤ちゃんと母・父

開院から約3ヶ月後の12月15日(月)、ついに助産院で初めての出産を迎えた。この小さな命の誕生は、一家族の喜びにとどまらず、町全体に大きな希望と活力を与えるニュースとなった。

分娩台を使わない分娩「オキシトシンバース」を導入

「神石のたまご助産院」は、日下医師自らが提唱する分娩台を使わない分娩、「オキシトシンバース」を導入している。「オキシトシンバース」は、子宮を収縮させるホルモンが脳から最大限に分泌されるように環境を整え、腹圧をかけずにゆっくりと子宮の収縮だけで出産する方法。赤ちゃんへ負担をかけず、母親の身体を傷から守る。出産によってオキシトシンが脳から溢れ出ると、産後、かつて経験したことのない幸福感に包まれ、赤ちゃんのことを自分以上に大切な存在として認識するようになるという。

今後は、産婦人科・助産院・小児科が連携することで、切れ目のない安心な医療と関わりが可能となり、地元での出産・育児を選択する町民を増やすことを目指している。

また、若い世代が安心して住める環境が整うことで、人口流出の抑制、さらには移住・定住の促進へと繋がり、町全体の活性化に貢献することが期待されている。

消滅可能性自治体の未来への大きな一歩

日下剛医師は、初の出産について次のようにコメントしている。

「このたび、『神石のたまご』で産婦人科の院長、助産院の嘱託医師として、初めてのお産に関われたことを心から嬉しく思います。医療過疎の地で生まれたこの小さな命が、最高の形で迎えられ、その後の人生を歩めるよう、スタッフ一同、最善を尽くしてサポートしてまいります。今回の初誕生は、単なる出産を超え、この町に『希望の火』が灯った瞬間だと感じています。この小さな助産院から、過疎の町の未来を変える挑戦を続けてまいります」(一部抜粋)

入江嘉則町長

また、神石高原町長の入江嘉則氏も、次のようにコメントしている。

「今回、日下先生という素晴らしい医師をお迎えし、産婦人科を開設していただきましたこと、何よりも初めての赤ちゃん誕生の報に接し、町をあげて感激しております。この『神石のたまご』は、単に医療を施す場ではなく、消滅可能性に立ち向かう神石高原町の未来を象徴しています。誰もが困難と諦めかけていたこのプロジェクトが実現し、新しい命が誕生したことは、この町が再び活力を取り戻し、持続可能な地域へと『再生』していくための大きなきっかけになると確信しています」(一部抜粋)

中山間地域の過疎の町・神石高原町で、今後も新たな命が誕生することを期待したい。

■神石のたまご産婦人科/神石のたまご助産院
住所:広島県神石郡神石高原町坂瀬川5146番地18
HP:https://jintama.jp

(淺野 陽介)

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