エネルギー分野でAIと人がフィードバックし合うHCAIの社会実装を目指す
株式会社エナリス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:都築実宏、以下エナリス)とKDDIアジャイル開発センター株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長/CEO:木暮 圭一、以下KAG)は2025年5月中旬より、太陽光発電量予測の異常検知システムにHCAI(人が中心のAI/ Human-Centered AI)を組み込む共同実証を開始しました。
AIによって導かれた結果を、別のAIが分析・評価し、それをさらに人間が評価して改善指示するサイクルを回すことによって、AIの精度を継続的に向上させ、安心して活用できるAIシステムの実現を目指します。
本実証では、KAGが生成AI・HCAIの知識・技術を提供し、エナリスが生成AI・HCAIの開発を実施、システム構築は両社共同で行います。

“生成AI”が、急激にビジネスに浸透する中、エナリスでも、需給管理業務や発電量予測などにAIを積極的に取り入れてきました。その一つが、太陽光発電量予測値の“異常値”や“実績値との乖離”を検出し、生成AIで報告・分析・提案を行う予測AI「異常検知システム」です。
しかし、生成AIには、もっともらしい誤情報を生成する「ハルシネーション」や「なぜその結論に至ったのか理由が分かりづらく判断の責任所在が曖昧になる」といった課題があり、社会インフラを支えるエネルギー分野において生成AIを活用するためには、これらの課題を解決する必要があります。
こうした課題の解決を目指し、エナリスとKAGは共同で、AIの出力結果が「どのくらい正確で信頼できるか」を客観的に評価する工程に、さらに別の生成AIを組み込み、そこから出された評価結果を最終的に人間が評価・判断して各AIにフィードバックするシステムの構築に挑戦します。
KAGは、KDDIグループにおいてソフトウェア開発・提供を担っており、“アジャイル開発”[1]に徹底的にこだわり続けてきたDX専業の組織です。生成AIやHCAIの領域において、日本屈指の知見を保有しています。また、LLMOps[2]やAIエージェントのプロダクト適用など、最新のトレンド技術を生かした価値提供を得意としています。
エナリスは電力需給管理業務を創業事業とし、早くから予測AIを活用した発電量予測や需要予測の高度化に取り組み、発電事業者さまを支援してきました。
今回のフィールドは太陽光発電量予測ですが、今後、他のフィールドにもHCAIを広げていくことを目指しています。
エナリスとKAGは、本実証を通して、人とAIが共存する、豊かな未来社会の実現に貢献します。
■ 実証の概要
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/70390/table/69_1_af5957c77e25d3594073faf64ca1f61a.jpg ]
ー 実証における各AI・人の役割
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/70390/table/69_2_dd8ed8ac767e0e2fd4784ca8c07a32b2.jpg ]
[1] アジャイル開発:1週間~2週間などの短い期間で、機能ごとに設計・開発・テストを繰り返しながらソフトウェアを完成させていく開発手法。途中でスコープやユーザーニーズに変化が起きた場合でも開発の優先順位を柔軟に変更し対応できる。
[2] LLMOps(Large Language Model Operations):大規模言語モデル(LLM)を用いたアプリケーションの開発、運用、管理を効率化するためのプラクティスとワークフローの総称。データ準備、モデルの微調整、デプロイ、モニタリングなど、LLMのライフサイクル全体を円滑に進めるための体制、基盤、手法を指す。