
南部ドローの医療施設で重度の急性栄養不良と合併症の治療を受ける子どもたちと、付き添っている母親。干ばつによって、多くの人びとが生計手段である家畜と農作物を奪われた(ソマリア、2026年3月25日撮影)(C) UNICEF/UNI967428/Tesfaye
【2026年3月26日 モガディシュ(ソマリア)/ニューヨーク発】
中東情勢の緊張に伴う物価高騰、干ばつ、紛争、支援資金の不足など、複数の危機に見舞われているソマリアを訪れ現地の状況を確認したユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは、全土で約200万人の子どもが急性栄養不良の危険にさらされており、状況は悪化の一途をたどっていると警鐘を鳴らしました。
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ソマリアは、干ばつ、紛争、避難民の増加に加え、支援のための資金が著しく削減され、家族には大きな負担がのしかかり基本サービスにも重い負荷がかかる緊急事態に直面しています。
中東における紛争の激化に起因する新たな混乱が世界のサプライチェーンへの圧力を強めており、ソマリアには深刻な影響が及んでいます。食料、医薬品、燃料、水の輸送コストが高騰しており、すでに逼迫した状況にある家庭や人道支援パートナーにさらなる負担を強いています。ソマリアは輸入に大きく依存しているため、物価が急騰しています。干ばつの被害を受けた地域では、水不足が深刻化し運搬用の燃料価格が高騰するにつれ、水の価格が2倍以上に跳ね上がっています。

南部ドローにある国内避難民キャンプの給水所で水を飲む女性。深刻な干ばつで住み慣れた場所を離れざるをえなかった人々も、キャンプに避難してきている(ソマリア、2026年3月25日撮影)(C) UNICEF/UNI967331/Tesfaye
水不足は依然として危機を押し広げる最大の要因の一つです。河川は干上がり、井戸は枯れ、地元の水源も頼りにならなくなりつつあり、コミュニティは驚くほどの速さで移動を余儀なくされています。とりわけ、資金不足により人道支援活動が手薄になっている地域では、感染症の拡大、生計手段の喪失、食料不安の悪化が重なり、人々を苦しめています。

南部ドローの病院で、重度の急性栄養不良と合併症の治療を受けている子どもの母親から話を聞くラッセル事務局長(右)(ソマリア、2026年3月25日撮影)(C) UNICEF/UNI967334/Tesfaye
同国南部ジュバランドのドローで地元の人々に会ったラッセル事務局長は述べました。「ずらりと並んだベッドに横たわる栄養不良の子どもたちを、母親たちが必死の思いで見守る光景には本当に胸を締め付けられました。人びとは信じられないほど強くたくましく事態に立ち向かっていますが、中東で続く戦争の影響も重なりあらゆる赤信号が点灯する今、彼らにはさらなる支援が必要です」。
ユニセフは現在、栄養治療食、ワクチン、マラリアから子どもを守る防虫処理済みの蚊帳など、総額1,570万米ドル相当の物資をソマリアに向けて輸送中または出荷準備中です。しかし、中東情勢が解決をみない場合、物資の輸送に遅延や追加費用が発生する恐れがあります。
過去1年間で、資金不足により400カ所以上の保健・栄養施設が閉鎖されました。その中には、極めて重要な栄養支援を提供していた125カ所以上の施設も含まれています。早急に支援が届かなければ、今後数カ月のうちに多くの施設が相次いで閉鎖される可能性があります。その多くは、食料不安・栄養不安が最も深刻な地区に置かれています。閉鎖されれば、妊娠中の母親はケアを受けられなくなり、子どもたちは予防接種を受けられなくなり、重度の栄養不良の子どもたちは命を守る治療を受けられなくなるでしょう。
今回の経済的打撃を受ける前から、ソマリアではすでに約300万人の子どもが支援を必要としていました。先月、国連機関とソマリア政府は、降雨不足による干ばつの悪化で家畜と農作物が壊滅し、今月末までに650万人近くが危機的・緊急レベルの食料不安に陥る可能性があると警鐘を鳴らしました。さらに、年末までに5歳未満の子ども180万人以上が急性栄養不良の危険にさらされる見込みです。
訪問中、ラッセル事務局長はドローで、干ばつの影響を最も大きく受けた家族たちと会いました。干ばつで家畜と農作物を失ったハビバさんという女性は、栄養不良の子どもたちの治療を受けるためドローまで7日間歩いたと語りました。
緊急の人道支援にとどまらず、ユニセフはパートナーと協力し、給水システム、栄養、社会保護、レジリエンス強化といった分野への長期的な投資と緊急支援を結び付ける統合的な取り組みを拡充しています。こうした取り組みにより、コミュニティが繰り返し起こる気候ショックへの対応力を高められるよう支援しています。

南部ドローの国内避難民キャンプで、自身の経験を語るハビバさん(右端)の話に耳を傾けるラッセル事務局長(左端)。ハビバさんは干ばつの影響で家畜と農作物を失い、栄養不良に陥った子どもたちを助けてもらうため、7日間も歩き続けてドローにたどり着いた(ソマリア、2026年3月25日撮影)
ラッセル事務局長はこうも述べています。「ソマリアの子どもたちに命を守る支援を届けるためには、1ドル、1分たりとも無駄にできません。ソマリアの子どもたちは――他のあらゆる場所に暮らす子どもたちと同じように――平和、保護、そして必要不可欠な社会サービスを安全に利用できる環境を必要としています。それがあれば、今日の子どもたちはコミュニティや国を支える医師、看護師、教師へと成長することができるのです」。
ユニセフは、ソマリアの何百万もの子どもと家族の緊急のニーズに応えるため、2026年に1億2,100万米ドルの支援資金の提供を呼び掛けていますが、これまでに2,000万米ドル弱しか集まっていません。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。https://www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。https://www.unicef.or.jp