ペポルインボイスによるクロスボーダー取引のデジタル化の幕開け
株式会社TKC(本社:栃木県宇都宮市/代表取締役社長:飯塚真規)は、令和7年12月12日に、業務提携を結ぶドイツのDATEV社にペポルインボイス(Peppol E-Invoice)を送付しました。DATEV社にて問題なく受信完了したことを確認できましたので、以下のとおりご案内いたします。
2028年(令和10年)にドイツではデジタルインボイス(E-Invoice)の送受信が義務化される予定です。
また2030年(令和12年)には、EUにおける国境を超えた取引もデジタルインボイス(E-Invoice)の送受信が義務化されます。デジタルインボイス(E-Invoice)義務化の対象はEU域内の取引ですが、日本企業がEUの企業と取引している場合、E-Invoiceの送受信を求められる可能性が高くなります。
そのためTKCは、ドイツのパートナー企業であるDATEV社とデジタルインボイスの送受信実験を行い、両社とも問題なく送受信に成功したことを確認しました。
TKCは、今後もペポルインボイスの積極的な利活用とその普及に努めてまいります。
■ペポルインボイス(Peppol E-Invoice)の送受信に向けた両社の取り組み
株式会社TKC及びDATEV社は、これまで送受信してきた請求データの内容と相手国のE-Invoiceの形式の分析を令和7年7月より開始しました。その結果を受けて令和7年10月に栃木県宇都宮市で開催された「DATEV-TKC Meeting in October 2025」の費用を、Peppol E-Invoice(日本の標準仕様であるJP-PINT形式)として、12月12日にTKCからDATEV社に送信しました。
- 当初、両社は、受信国の形式(TKCはドイツ、DATEV社は日本の形式)のE-Invoiceを送信することを検討していました。
- しかし、Peppolでは、E-Invoiceの送信にあたり、その形式に応じたデータ検証が行われます。受信国の形式のE-Invoiceを送信するためには、受信国の仕様に基づくE-Invoiceの作成が必要です。例えば、DATEV社が日本のPeppol E-Invoiceを送信するためには、当該データに「適格請求書発行事業者の登録番号」のセットが必要で、当該番号を保有していないDATEV社は、当該フィールドにダミーの値をセットしなければなりません。
- この状況を踏まえ、TKC及びDATEV社は、送信国の形式でE-Invoiceを送信し、受信側が送信国の形式のE-Invoiceの受信及び表示に対応することとしました。
- なお、当該Peppol E-Invoiceの作成にあたり、TKCでは、国コードや通貨コードの修正等を個別に実施しました(国コード:JP→DE、通貨コード:JPY→EUR)。
■今後の予定
TKCでは、日本企業が海外企業との取引に係る請求をPeppol E-Invoiceで送信できるよう、このたび個別に実施した国コードや通貨コードの修正等を、システムの機能として搭載することを検討します。
〈ご参考〉
■E-INVOICE EXCHANGE SUMMIT SINGAPOREでの登壇
株式会社TKCは、令和7年11月24日から26日にかけてシンガポールで開催されたE-INVOICE EXCHANGE SUMMIT SINGAPOREのラウンドテーブルに登壇しました。当イベントでTKCのアクセスポイントの利用者数や送受信実績を報告すると共に、その背景は税理士による積極的な協力によるものとお伝えし、海外の参加者から高く評価いただきました。URL:https://www.exchange-summit.com/reviews/2025-Singapore

■TKCとドイツDATEV社との提携関係について
株式会社TKCとドイツのDATEV社は、共に1966年に創業しています。両社の創業者はいずれも税理士で、株式会社TKCは飯塚毅博士(税理士・公認会計士)、一方、DATEV社はDr.HeinzSebiger(ハインツ・セビガー博士)によって設立されました。
事業目的も同じで税理士事務所に情報技術を導入し、業務品質と生産性を高めると共に、その将来発展の道を切り拓くというものでした。
1972年1月19日に日本オリベッティ社の紹介により、飯塚毅博士がニュルンベルグにあるDATEV本社を訪ねてセビガー博士と面談。将来共に協力すべき重要なパートナーとして認識したのが始まります。その日から今日に至る53年間にわたる提携関係が続いています。
毎年、春と秋の年2回にわたり相互に本社を訪問し、システム開発を始めとした様々な情報共有、意見交換などを行う、DATEV-TKC Meetingを開催しています。