日本作家40名の美しく独創的なアウトサイダーアートが一堂に会する書籍『アール・ブリュット 湧き上がる衝動の芸術』2,700円(税抜)が、大和書房から8月27日(木)より発売中だ。著者は小林瑞恵。
アール・ブリュットとは
「アール・ブリュット」とは、美術の専門教育を受けていない人が独自の発想と方法で創る芸術のこと。美術界に属さない人々の表現に惹かれたジャン・デュビュッフェによって定義され、1948年にアール・ブリュット協会が誕生した。
海外でも注目される日本のアール・ブリュット
「生(き)の芸術」と呼ばれるこの潮流は、日本では2004年設立の滋賀県ボーダレス・アート・ミュージアムN0-MAが牽引。2008年に開かれたスイスのアール・ブリュット・コレクションとの共催展覧会をきっかけに、欧州で“日本のアール・ブリュット”が注目されるようになる。
2010年にパリ市立アル・サン・ピエール美術館で日本人63名・約900点の作品を展示した『Art Brut Japonais展』では12万人の観覧者数を記録。その後も欧州各地を巡回する展覧会で多くの人を動員している。
国内でも特集や企画展が目白押し
また、国内でも注目が高まり、NHKワールド・Eテレの番組「no art, no life」では、2017年から日本のアール・ブリュットアーティストの姿を追い続けている。関連して現在、9月6日(日)まで東京藝術大学大学美術館にて特別展『あるがままのアート ―人知れず表現し続ける者たち―』が開催中で、8月23日(日)にはNHK Eテレ「日曜美術館」で特集が組まれた。
さらに、9月5日(土)〜12月6日(日)には、渋谷公園通りギャラリーにて、著者がキュレーションを担当した東京都主催のアール・ブリュット2020特別展『満天の星に、創造の原石たちも輝く カワル ガワル ヒロガル セカイ』の開催も予定されている。
日本作家40名270点超の作品を図版で紹介
同書は、国内外の展覧会はもちろん、テレビ番組でも注目を集めている日本作家40名による作品を270点超の図版で紹介。話題を集めた欧州の展覧会でキュレーションに関わり、15年以上のあいだアール・ブリュットに携わってきたアートディレクター・小林瑞恵氏が作品を選定し、見所や作品が生まれた背景などを解説する。
作品は『いろ_重なり合う「いろ」から浮かび上がる世界』『かたち_枠のない想像から生まれる「かたち」の宇宙』『そざい_暮らしにある「そざい」に秘められた未知の可能性』『ものがたり_作品一つひとつに込められた「ものがたり」』の4章から構成。コラムも収録されており、充実の内容となっている。
180度開ける造本で、日本のアール・ブリュットの世界を心ゆくまで鑑賞してみては。