多摩美術大学は、東京オペラシティビル地権者の故・寺田小太郎氏のコレクションから59点の作品を受贈したことを記念し、「寺田小太郎 いのちの記録 ―コレクションよ、永遠に」展を、多摩市にある多摩美術大学美術館で開催中。7月から9月にかけて開催した前編「誕生」に続き、後編は「継承」をテーマに、寺田氏がコレクションに込めた想いをたどっていく。
“「芸術には人を変容させる」力がある”
「寺田小太郎 いのちの記録 ―コレクションよ、永遠に」展は、作品収集の背景にあるコレクターのまなざしや個人のライフストーリーを辿りながら、収集という行為そのものが社会をより充実させるための営みであると捉えることで、「社会におけるコレクターが果たす役割」を再考する展覧会シリーズ「コレクターズ/Collectors」の第2回企画展。
寺田氏は「芸術には人を変容させる」力があるという信念を持って収集活動を行い、作品やアーティストとの出会いとともに自らの思考を深化させていった。そして収集活動を「創造的な営み」と考え、そのプロセスを通じて自分の想いを表現しようと試み、自らが生きた証となるコレクションを未来へ伝えようとした。
総数4,500点に上る「寺田コレクション」は、難波田龍起・史男親子の国内屈指となる作品群のほか、戦後日本美術から現代アートに至るまで、幅広い年代・ジャンルにわたっている。
戦後の多彩な作家の収集作品を展示
同展では、前編・後編でテーマを分け、多摩美術大学美術館に寄贈された収蔵品を含む約190点の作品と資料から、寺田氏の想いに寄り添い、その人物像を浮かび上がらせると共にコレクションに込められたメッセージを紐解く。
後編にあたる「継承」では、相笠昌義、奥山民枝、舟越保武など戦後の多彩な作家の収集作品を展示。寺田氏から受け継ぐメッセージを「人間とは何か」「幻想美術」「自然の声」「センス・オブ・ワンダー」というテーマに込めて構成し、寺田氏のまなざしの先にある未来へ想いを馳せる。
会期は10月2日(土)〜11月21日(日)。入館料は一般300円、障がい者および付添者、学生以下は無料。
新型コロナウイルス感染症拡大防止対策
多摩美術大学美術館は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため必要な対策を講じて営業中。詳細は、同館公式サイトで確認を。
■多摩美術大学美術館
住所:東京都多摩市落合1-33-1
奥山民枝《山照》1983年 油彩、キャンバス 東京オペラシティ アートギャラリー蔵 撮影:早川宏一
舟越保武 《ダミアンの手》1977年 ブロンズ 東京オペラシティ アートギャラリー蔵 撮影:若林亮二