くじゅう連山の麓にある大分県竹田市直入町に、新たな桜の名所「長湯温泉しだれ桜の里」が3月16日(水)にグランドオープンした。
山の傾斜を活かした敷地一面に6種類・約2600本の桜が咲き乱れ、約300本の八重紅しだれ桜は、西日本随一の規模を誇る。
住民らが15年にわたり手塩にかけて育てた桜
この里は地域住民らが15年の歳月を経て土地を整備し、桜を植樹しながら手塩にかけて育ててきたもの。自然豊かな広大な秘境の地で、里山を彩る濃淡さまざまな桜色の競演は圧巻だ。
一人の男性の熱い思いがきっかけ
「長湯温泉しだれ桜の里」の誕生は、大分市佐賀関在住の元会社役員・安部博進さんの熱い思いがきっかけだったそう。
安部さんは、旅行で訪れた京都のしだれ桜やモミジに魅せられ、「いつか自分でしだれ桜の公園を造りたい」と思っていたという。ある日、竹田市を訪れた際に「くじゅう連山の麓にある長湯温泉こそ桜が映える」と感じた安部さんは、2006年に地元住民数人に声を掛けて、4年後NPO法人「しだれの里を創る会」を設立。山の斜面の民有地約10ヘクタールを無償で借り、会員約20人が手弁当で整備に乗り出した。
整備の中心となったのは、山関係の仕事をしていた安藤光雄さん。年300日以上、現地に入り、雑木を伐採し、重機で根を掘り起こし、堆肥をまいて土地を整備した。安部さんも自宅から約1時間半かけて、現地に入る生活を続けたという。
桜は専門家のアドバイスを受け品種を選定。苗木の購入費用は、大分県の森林環境税や宝くじの助成金などを活用し、15年の月日を経てようやく完成にたどりついた。
東京ドーム2個分の広大な土地に6種類の桜
東京ドーム2個分の広大な敷地では、大漁桜(タイリョウザクラ)、小松乙女(コマツオトメ)、陽光桜(ヨウコウザクラ)、八重紅しだれ桜(ヤエベニシダレザクラ)、思川桜(オモイガワザクラ)、牡丹桜(ボタンザクラ)の6種類の桜が咲き誇る。見ごろの時期も変化に富んでおり、約1カ月半にかけて桜を楽しめるのもポイントだ。
これらの桜の寿命は200年以上といわれている。代表的な染井吉野(ソメイヨシノ)の寿命は約70年。安部さんは「これから先を見据えて、できるだけ長く桜を楽しんでほしい」と染井吉野の植樹はあえて見送ったと語る。
また、地元住民が提供した約2万本のスイセンや、菜の花やツツジなど季節の花と桜とのコラボーレーションも見ることができる。
桜の鑑賞期間中は、地元の屋台などの出店が並ぶ予定となっている。
「長湯温泉しだれ桜の里」から約1.8キロ離れたところには「長湯温泉街」もあるので、桜を見た後は温泉で心身の疲れを癒すのもよさそうだ。
■長湯温泉しだれ桜の里
住所:大分県竹田市直入町大字長湯3142番地15
開園時間:午前9時~午後5時
入場料:大人(12歳以上)500円、子ども(6~11歳)300円、5歳以下は無料
URL:http://shidarezakuranosato.com/