田中本家博物館では、“善光寺御開帳記念 歌川国芳「木曽街道六十九次」”を4月10日(日)~7月11日(月)の期間、開催する。
全て公開されるのは10年ぶり
2022年、長野県では7年に1度の善光寺御開帳がある。それを記念し、同館所蔵の歌川国芳氏の浮世絵「木曾街道六十九次」71点が前期・後期にわけて公開される。全て公開されるのは10年ぶりだという。
歌川国芳氏について
歌川国芳氏は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師。勇壮な武者絵で人気を博し、武者絵の国芳として有名だが、手がけたジャンルは広く、戯画、風景画、役者絵、美人画など多岐に渡り、その画業は葛飾北斎氏に並ぶほど。
近年その評価はますます高まっているという。
ユーモアあふれる謎かけ
木曽街道六十九次は、出発地の日本橋から目的地の京都まで69の宿場を題材にした作品だ。しかし、この作品で同氏は宿場の風景は描かず、宿場の名前にかけた人物や物語を描くことで木曽街道を表現。つまり、浮世絵が一種の謎かけになっている。
木曽街道六十九次「守山」では、達磨大師がもり蕎麦を山のように食べる姿が描かれ、「守山」と「山のようなもり蕎麦」が掛けられている。
故事・伝説・歌舞伎など、当時の庶民がよく知る物語や人物の一場面を木曽街道の宿場の名前にかけて描くことで、同氏は木曽街道を表現した。絵だけでなく、この謎かけを読み解くのがとても面白い作品となっている。
歌川国芳氏の集大成
木曽街道六十九次は、嘉永5年に発行された同氏晩年の作品。そのためか同作品71枚の中に、それまで自身が培ってきた浮世絵の様々なジャンルが取り入れられている。
宮本六三四といった勇猛な武者が登場してくるものもあれば、コミカルな描写のもの、美しい風景の描写、歌舞伎役者を思わせる人物のたたずまい、肌をあらわにした女性など、様々な人物が登場。見ているこちらを飽きさせない内容となっている。
木曾街道六十九次は、同氏のファンならずとも楽しめる浮世絵屈指の傑作だ。
71点すべてが公開されるこの機会に、田中本家博物館へ訪れてみて。
■善光寺御開帳記念 歌川国芳「木曽街道六十九次」
会場:豪商の館 田中本家博物館
住所:長野県須坂市穀町476番地
会期:前期4月10日(日)~5月30日(月)、後期:6月1日(水)~7月11日(月)
営業時間:平日11:00~15:30、土・日・祝10:00~16:00
入館料:大人900円、中高生350円、小学生250円
休館日:毎週火曜日
公式HP:https://tanakahonke.org/