パレードブックスは、4月15日(金)に『帰心 阿波(徳島)遍路俳句紀行』1,000円(税込)を全国書店にて発売した。
妹の死をきっかけに
同書の著者は、齋藤嘉章氏。これまで七十五歳までの人生で死を意識することなく過ごしてきたという同氏は、思いがけない妹の死をきっかけに四国遍路の旅に出た。幼い頃に住んでいたという徳島の阿波を歩きながら、亡き妹への思い、人との出会い、回想や歴史への言及が綴られる。
折々に挿入される俳句は、同氏の心の反映として読める。紀行も俳句もすべて遍路の道程で感じる喉の渇きや空腹など生の実感として綴られており、同作が“生”と“死”への思いがこもる旅であることを強く伝えている。
本について
妻と猫二匹と平穏な暮らしをしていた齋藤嘉章氏の元に、突然四歳違いの妹が末期癌の疑いがあるとの知らせが届いたという。柏市の厚生病院で診断の結果ステージⅣの胃癌であることが判明。先行きの見えない闘病生活がはじまる。
兄と妹のリアルな関係、蘇生処置に対する揺れ動く思い。そして、一年半後に待ち受けていた死。妹の遺したメモに記されていた「放下着」という謎めいた言葉によって、同氏の四国遍路への思いが再燃。五月某日JALで徳島へ。幼児期を送った眉山の裾野の町を巡り歩いて、在りし日の郷愁にかられる。
翌日からは白衣を羽織り、菅笠、数珠と鈴をもち金剛杖を頼りとする一人遍路である。第一番札所霊山寺から第二十三番薬王寺まで、一日約20キロ余りを歩いたという。巡礼の作法、善根宿の体験、険しい山道、青い山脈とせせらぎの音、折にふれての接待、人との出会い。
そういう掛けがえのない時間を写し取り、ぽつりぽつり作られた俳句。同氏にとってこの遍路は「一度裸のままの自分」に帰る旅であったという。同作はその過程で生まれた、紀行文でもあり句集でもある。
著者・齋藤嘉章氏より
著者の齋藤嘉章氏は「七十五歳の凡夫が一筋の光を求めて歩いた阿波(徳島)の遍路行。その先に見えたものは″生きていることは素晴らしい″という、心身から湧き出る喜びであった。人生は無常だと感じている人、親子兄弟の絆に苦しんでいる人、一度人生を白紙に戻したい人など。令和という時代に取り残されそうなすべての人に読んでもらいたい」とコメントしている。
紀行文でもあり句集でもある『帰心 阿波(徳島)遍路俳句紀行』を手に取ってみては。
パレードブックスHP:https://books.parade.co.jp/