西海園芸は4月28日(木)に、花屋「花 西海(はなさいかい)」を長崎県波佐見町にオープンした。
花を誂える“花師”のおもてなしを提供
「循環」をキーワードに改築された同店は、店舗シンボルとして波佐見町の風土や生活に根付いた工法による「茅葺き(かやぶき)屋根」を採用し、建築や庭に使用される土壁、茅葺、岩、植物にはいずれも地域の素材を使用。
また、造園と花屋の事業を展開してきた同社ならではの強みをいかし、季節や天候、朝夕の時のうつろいをもとらえる“庭師”による空間設計、その空間の中でユーザー一人ひとりの想いに寄り添い、花を誂える“花師”のおもてなしを提供する。
店舗設計における三つの「循環」を説明しよう。
ときの「循環」
造園設計を手掛けるのは「庭 西海」代表で庭師の山口陽介氏。庭の樹木や草花は長い年月をかけて成長の過程を楽しめるよう剪定されており、植栽や石の配置一つを取っても天候の移ろいによって異なる趣きや、時間帯による陰影の変化を意識するなど、自然と建築双方の美しさを際立たせる日本古来の美意識が感じられる空間に仕上げた。巡る時間の中でさまざまな表情を見せ、訪れるたびに異なる印象を楽しめる。
素材の「循環」
店舗に使用される茅葺、岩、土、植物はいずれも地域の素材。茅葺の原料には、現代の生活においては活用方法が少なく廃棄されることも多い小麦藁(小麦を収穫した後に残る葉)を採用している。劣化した小麦藁は肥料にするなど、素材を余すことなく活用することができ、アップサイクルなものづくりが今改めて見直されている現代において、元来より庭師が取り組む「地元の素材で作り、地元の土に還す」という理に適った素材の活かし方、朽ちていく美しさを体現していくことを目指している。
文化・技術の「循環」
茅葺き職人の相良育弥氏監修のもと、かつて波佐見町に根付いていた茅葺き文化、日本の建築技術をアップデート。地域コミュニティと協力して採集した地元産の小麦藁を1町(1ha=3,000坪)分使用し、店舗のシンボルとなる「茅葺き屋根」を施工した。
創業50年の庭師と花師がつくる、自然循環と伝統の美を「体感する」場である、「花 西海」へ訪れてみては。
■花 西海
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷1661
営業時間:10:00~18:00
定休日:火曜日