臨済宗の非公開寺院「廣誠院」の敷地内に、「宿坊KANETSUNE(しゅくぼうかねつね)」と「食堂ICHIFUNE(じきどういちふね)」が1月23日(月)に開業する。
天才兼常が考案した指定名勝
「廣誠院」は、高瀬川の起点となる一之船入の南側、ホテルオークラ京都に隣接している市内中心地に位置し、明治の頃、旧薩摩藩士・伊集院兼常によって屋敷として建てられた。紀貫之に姓の起源があるといわれる伊集院家は、薩摩藩では営繕関係の仕事を手がけていた。
のちに屋敷は住友家の初代総理事・廣瀬宰平の息子である満正の手に渡り、1952(昭和27)年からは臨済宗の寺院としてひっそりと守り受け継がれてきた。
これまでほぼ一般に公開されることなかった同寺院の敷地内に、今回宿坊と食堂が誕生する。
1年に100組のみ利用できる会員制宿坊
寺院は指定文化財・指定名勝である本堂を次世代に継承するべくこれからも非公開であるが、敷地内に位置する宿坊は、1日1組1棟貸しの宿泊施設として利用できる。ひとたび門をくぐると、京都の中心とは思えない静謐なプライベート空間が広がり、時空を超えた歴史の流れに漂って非日常の時間を過ごすことができる。この景観を守るため、1年に100組のみ一般予約を受け付ける会員制宿坊となっている。
宿坊はブリツカー賞等数々の受賞歴を持つ建築家伊東豊雄氏が監修し、岡野道子氏の設計。庫裡をリノベーションし、シンプルに伝統とモダンが感じられる1棟貸し宿坊は、5名の利用が可能。ホテルでは味わえない別荘のような京都暮らしを体験できる。
静かな時を刻む庭園の朝、高瀬川の水を引き込んだ池、木々の葉音など、実際に訪れそこに佇んだ人のみが体感できる特権だ。
貸切れば完全なプライベート空間になる食堂
また、指定名勝を臨む別棟の食堂も誕生。
大きく開放的な窓からは美しい庭園を眺められ、森の中にいるような雰囲気に包まれる。庭側の外壁と室内の青い壁は、日本を代表する左官職人久住有生氏が手掛けたもの。室内には世界的に注目されるアーティスト名和晃平氏の作品が壁一面に大きく描かれている。食堂を宿坊とともに貸切れば、宿坊エリアは完全に利用客のみプライベートスペースになる。
食堂は本格的な厨房施設を備えており、シェフを帯同したプライベートプランにも対応できる。
また、チェックインとアウトの間のアクティビティタイムには、特別な文化体験やスペースを提供することも可能だ。
プライベートウェディングphotoプランも
宿坊・食堂の運営に携わるJapan Floral planningは、フラワーデザインコンテストで日本一となり、ラグジュアリーブランドやホテルの装花などを手掛けるフラワーデザイナー竹内美稀氏が代表。今回、この施設では年間限定12組を目途に、京都ならではの特別な和装を用意したウェディングphoto撮影を含んだ宿泊プランも提供していく。
「宿坊KANETSUNE」や「食堂ICHIFUNE」を利用して、京都市の指定名勝で豊かな時間を過ごしてみては。
■宿坊KANETSUNE・食堂ICHIFUNE
住所:京都府京都市中京区一之船入町538-1
HP:https://kyoto-kanetsune.jp/
(山本えり)