広島市現代美術館は、約2年3ヶ月にわたる改修工事休館を経て、3月18日(土)にリニューアルオープンする。また、リニューアルオープン記念として、全館を用いた特別展「Before/After」を3月18日(土)~6月18日(日)の期間、開催する。
さまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目
「Before/After」では、広島市現代美術館建物の改修工事という出来事を契機に生じる「前/後」をひとつの足がかりとして、さまざまな「まえ」と「あと」の現象や状況に着目。
例えば、広島の中心地に建設され、広島県の産業奨励館として知られていた建物は、被爆後にはヒロシマを象徴する遺構へと姿を変え、原爆ドームという愛称のもと、都市風景の一部となっている。
都市を破壊し、人々に健康被害をもたらした核エネルギーは、その後、原子力発電のエネルギー源として世界に繁栄をもたらすとも信じられてきた。
このように、歴史を振り返れば、いくつもの分岐点としての出来事や決断があり、変更や変化が起こってきたことに気づく。
ときに後ろを振り返りながら前へ進んでいく
我々は過去からなにを学び、どのような未来を見ているのだろうか。旧約聖書によれば、かつて楽園で禁を破って知恵をつけ、そこから追放された人類の末裔は、いまなお世界のいたるところで諍いを起こし、他者の生活を脅かすなど、さまざまな問題を抱えている。
それでもなお、人類は、夢や希望を抱くことを忘れず、自らを癒し、ときに後ろを振り返りながらそれぞれの歩みで前へ進んでいくのではないだろうか。
美しく力強い作品を発表してきたアーティストたちをピックアップ
「Before/After」では、社会の変化やシステムにおける綻び、隠され葬り去られた過去や歴史があることを敏感に察知し、作品として発表してきたアーティストたちを取り上げる。
彼らは、それぞれのやり方で出来事と真摯に向き合い、変転や変遷のあとさきを静かに想起させる、美しく力強い作品を発表してきた。
広島市現代美術館は、これらの作品を通じて、さまざまな事象の「まえ」と「あと」とを想起し、変化の有無や差異を認識するのはもちろんのこと、さらにその背景や一連の顛末によってもたらされる功罪や意義を省察する機会となれば幸いだという。
なお、「Before/After」に出品している作家については、広島市現代美術館、リニューアル特設サイトで確認できる。
「Before/After」の観覧料
「Before/After」の観覧料は、一般1,600円(1,250円)、大学生1,200円(900円)、高校生・65歳以上800円(600円)、中学生以下無料。なお、()内は前売り及び30名以上の団体料金で、前売券は、広島市現代美術館オンラインショップ、チケットぴあで購入できる。
広島市現代美術館の再開にあたり、全館を用いた特別展「Before/After」に参加してみては。
■リニューアルオープン記念特別展 Before/After
開催日時:3月18日(土)~6月18日(日)10:00~17:00※入場は閉館の30分前まで
会場:広島市現代美術館
住所:広島県広島市南区比治山公園1-1
休館日:月曜日
広島市現代美術館オンラインショップ:https://hiroshimamoca-339.stores.jp/
リニューアル特設サイト:https://www.hiroshima-moca.jp/renewal2023/
(角谷良平)