静岡県菊川市の「深蒸し菊川茶」が、今年3月に農林水産省から「地理的表示(GI)保護制度」の「農産加工品類 酒類以外の飲料等類」において認定登録を受けた(※)。同市は、認定登録を大きな契機と捉え、「深蒸し菊川茶」が国内外に広く認知されるようブランド力を高めるとともに、さらなる販路拡大や消費拡大に取り組む。
地理的表示(GI)保護制度登録の概要
菊川市とその周辺地域の茶は、渋みが強いことから中級茶として扱われていたが、昭和27年頃からの製造方法の研究と試行錯誤の結果、茶葉を長い時間蒸すことで渋みが少なく味の良い「深蒸し茶」の製造に成功し、菊川市は「深蒸し茶発祥の地」として認知されている。
全国に先駆けて茶農協として組織化を進めたことで「深蒸し茶」の製造技術と良質な茶の量産化が実現し、その品質も高く評価され、全国茶品評会における「深蒸し煎茶」部門の新設や、深蒸し茶の全国への普及・拡大に大きく貢献、お茶を淹れると濃厚な黄緑色で、渋みが少なくまろやかな味わいを持ち、需要者からは、これらの特性に加え、深みのある豊潤な香りやうま味とコクがあることが高く評価され、登録された。
「深蒸し菊川茶」の魅力をPR
同市は、今後の取り組みとして、市内の茶業関係者や生産者を対象とした説明会を開催し、生産方法など登録された特性のクオリティを維持するための基盤づくりを行う。
また、のぼり旗やポスター、チラシ等により、GI登録について茶業関係者以外の市民へも広く認知してもらい、産地として活気づいていくよう周知・PRを行っていくほか、GI登録された「深蒸し菊川茶」が国内外に広く認知されるよう、SNS等による情報発信に加え、小売り用の茶袋等に認定シールを貼る等、広くPRしていく。
大相撲五月場所へ懸賞旗を掲出
新茶シーズンの5月には、東京都墨田区の両国国技館で開催される大相撲五月場所の幕内取組に「懸賞」を懸けて、GI登録された「深蒸し菊川茶」と「菊川市」のPRを実施。実施期間は、5月14日(日)~28日(日)の15日間。
取組前の土俵で呼出しが「深蒸し菊川茶」の文字が描かれた懸賞旗を掲げ、土俵上を回るとともに、取組表には「祝GI登録深蒸茶発祥静岡県菊川市」が印刷され、大相撲会場入場者全員に配布される。取組の直前には、場内放送でも「祝GI登録深蒸茶発祥静岡県菊川市」の読み上げが行われる。
渋みが少なくまろやかな「深蒸し菊川茶」を、この機会に味わってみては。
菊川市HP 深蒸し菊川茶ページ:https://www.city.kikugawa.shizuoka.jp/chagyoushinkou/index.html
※位置付け 農林水産大臣登録 第130号:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/130.html
(江崎貴子)