グローバルアートマーケットプレイス「TRiCERA ART」を運営するTRiCERAは、香港出身の作家、Norris Yim(ノリス イム)氏による初の海外作家個展「Norris Yim – Beyond Names」を、5月27日(土)~6月4日(日)にて、六本木・西麻布エリアのギャラリー「9s GALLERY by TRiCERA」で開催する。
抽象的な肖像画で有名な画家
香港出身のNorris Yim氏は、現代人の匿名性を表現した抽象的な肖像画で有名な画家。香港理工大学でデザインを学んだのち画家に転向し、洗練されたビジュアルで現代人のディストピアを表現し高い評価を得てきた。
「Nameless」の新展開が日本で初めて発表
個展「Norris Yim – Beyond names」では、2021年から続くシリーズの「Nameless」の新展開が日本で初めて発表される。
香港で生まれ育ったNorris氏は、雨傘運動や香港国家安全維持法に抗するデモで激動する香港社会を目の当たりにしてきた。民主主義社会の保持が危ぶまれている地で制作を続ける彼だからこそ、人間がその内側に秘めている本当の愛情や複雑な心の動きを、絵画という形に落とし込みたいという切実な創作欲が湧き続けるのかもしれない。
ビジュアルイメージが非常に洗練されているため、時に表面的な部分で評価されがちなNorris氏の作品だが、非常に生身の感覚を大事にしながらも抽象度を保持しているというアンビバレントなバランス感覚こそ、彼の注目されるべき特質であると言える。
哀れみや悲しみすら感じさせる「Nameless」シリーズ
「Nameless」シリーズは、カラフル・モノクロなど様々な色彩を自在に駆使しながら、顔面があるはずの場所に暴力的に盛り上げられた絵の具は、まるでデジタル画像のノイズのようにも見える。
資本主義社会の中で、私たちは生き残るために偽善的な仮面を被ることが日常になっている。オリジナルの「顔」は隠されたまま、いつの間にか、顔を隠す道具だったはずの仮面が顔それ自体になってしまい、メイクアップと同様にオリジナルの自己を忘却させてしまう。
Norris氏は、その仮面を剥ぎとり、なまの絵の具で感情を表現する。哀れみや悲しみすら感じさせる「Nameless」シリーズは、現代社会の宿痾を暴露する作品だ。
Norris Yim氏の個展を観に、「9s GALLERY by TRiCERA」へ足を運んでみては。
■Norris Yim – Beyond Names
開催日時:5月27日(土)~6月4日(日)12:00~18:00※最終日~17:00
会場:9s Gallery by TRiCERA
住所:東京都港区西麻布4-2-4 The Wall 3F
会期中無休
公式サイト:https://www.tricera.net/ja/artclip/blog899
(角谷良平)