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【岐阜県郡上市】人口約200人の白山の麓にある集落で営む石徹白洋品店、今年も藍染のシーズンが到来

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日本人が古来より作ってきた直線裁ちの服を現代のライフスタイルに合うかたちにリデザインする岐阜県郡上市の「石徹白洋品店」が、今シーズンの藍染を開始した。

この土地で育つ植物を使う


石徹白洋品店は、岐阜県・奥美濃の小さな集落・石徹白地区にて、縄文時代から継承されてきた伝統の野良着(たつけ)を復刻し、現代のライフスタイルにあったデザインで服を制作。また、地域の植物を採取、草木染や藍染を行い、自然素材を生かした服づくりに取り組んでいる。モノづくりを通じて進めてきた地域活性化の取り組みが評価され、共同通信社らが主催する第12回地域再生大賞の準大賞を受賞した。


そんな同店は、この土地だからこそできるものづくりをしたいと考えており、藍染も草木染も、この土地で育つ植物を使うことを大切にしているという。土を耕し、種をまくところから藍染をする。草木を野原や山に摘みに行くところから草木染めをする。

季節の移り変わりを感じ、自然の恵みに感謝をしながらものづくりをすることは、とても豊かな気持ちになるそう。そんな気持ちを抱きながら、1枚1枚、布や服を手作業で丁寧に大事に染めている。

藍染は、体力・気力を要する仕事

石徹白洋品店が石徹白の地で藍染をはじめて7年目となる。同店は「灰汁発酵建て」という自然の材料のみで藍を建てる方法を採用。染めは1甕1キログラムの糸や布、服。1日染めたら1日休ませるので2日に1回のみで大量に染められるわけではなく、とても貴重だという。


藍染をはじめるには、青色が出るまでに4時間おきに混ぜて微生物に酸素を与える“攪拌”する作業が必須で、体力、気力を要する仕事だ。


また今年は気候変動の影響か定かではないが、特に寒暖差が激しく(建つには32度程度の温度が必要で温度が低い時は電熱線を使って加温)、4月末に仕込みをしたものの、なかなか青が出ない状況が続いたそう。これまでの経験があっても藍を建ち上げることができず、藍の師匠である福井県大野市在住の藍染30年の職人、皆藤俊雄さんに相談し「誘い出し(※)」という手法を施してもらうことで、5月半ばにようやく青が出た。

藍染現場の見学受付中

同店の代表・平野馨生里氏は、“藍とは植物を育てるところからはじまる、まさに農ある暮らしです。自然物を相手にした染めはとても大変ですが、この土地の恵みを色として暮らしに役立てられる藍染の仕事を誇りに感じながら、日々、試行錯誤しています。土から生み出され、自然の様々な状況に左右されながらも現れていく色合いと風合いがわたしたちの心を惹きつけます、自然の営みに沿って、工夫を凝らし、頭を使い、知恵を積み重ねていくものだと、より一層感じています。”とコメントしている。

現在、石徹白洋品店では藍染現場の見学を受け付けている。興味のある人は、事前に希望の日程を連絡しよう。なお、荒天の際は中止することもある。

藍染のシーズンを迎えた「石徹白洋品店」を、この機会にチェックしてみては。

石徹白洋品店:https://itoshiro.org/

※ すでに染まるようになった元気な藍の液を、まだ建ち上がらない藍液に入れることで、微生物の活動を促進して発酵させる方法。藍染めは簡単ではなく経験を重ねた師匠がいることで常に学びを深めている。

(江崎貴子)

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