日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、栃木県旧葛生町(佐野市)を写真とともに紹介する。
Vol.99/栃木県旧葛生町(佐野市)
旧葛生町は、「くずう」と読む。初めて見たときは読み方が分からなかったけれど、道中、踏切で電車を待っていたときに、行き先が葛生だった。それを見て、ああ、地元の方たちにとっては身近な漢字なのだなあと思う。
佐野市の中でも葛生は北と東西が山に囲まれた地形になっていて、ひらけた中心部を部分を秋山川が流れている。石灰岩の地層が多く、削られた山もある。そして、洞窟の宇津野洞窟にも訪れた。
平日か祝日か、また情勢によっても違うだろうけれど、宇津野洞窟の入り口は無人だった。開錠された扉の先に、アルコール消毒液がひとつ置かれ、あとは自由に見学ができる。平日だったので、ほかに訪れている人もいない。洞窟を一人で進んでいくことは、ちょっと怖いなと心拍数が上がった。
低い入り口をくぐって、洞窟内を進んでいく。ひんやりとした空気を肌に感じながら、賽の河原をはじめ、いくつか信仰に根差した視点を垣間見た。石灰岩ドロマイトと呼ばれる地層は、約2億5000万年前に形成されたそうだ。壮大な時間の流れに静かに身を置くと、確かに人間と自然の存在について考えてしまう。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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