日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、山梨県旧秋山村(上野原市)を写真とともに紹介する。
Vol.140/山梨県旧秋山村(上野原市)
山梨県の東端に位置する旧秋山村にやってきた。村の中央には桂川の支流である秋山川が流れていて、川沿いには都留市に通じる県道が走っている。
まずは秋山支所を訪れた。走っていると秋山川沿いの県道に集落が点在しているのがわかる。四方のほとんどが山塊に囲まれているので、川沿いに道や集落ができるのも自然だろう。
次に、県境に近い富岡の棚田を目指した。棚田が近づくにつれて景色がひらけて、空がとても広くなったように感じられた。家屋が点在している様子にも見惚れてしまう。
そして、石積みの外壁の道路を進み、かなりの急坂を登っていくと、眼下には富岡の棚田が見事に広がっていた。ちょうど田植えが行われたばかりの水田だった。幾重に重なる棚田に水が張られ、苗が風になびいている。
棚田は人の手によって守られている。ぼくはこの景色にとても感動したけれど、あくまで部外者で、都合のいい人間に過ぎない。ぼくが感動するためにこの景色があるのではない。この景色はここに住む方たちのためにある。
目を閉じると、小鳥のさえずりと、カエルの鳴き声がした。
秋山温泉にも入った。温泉は源泉37.1度とぬるめだ。透明なお湯が少しずつ体に染み渡っていった。地元の方と観光客が入り混じっている様子だったけれど、地元の方からすれば、ぼくの顔は観光客なのかなあと思ったり。地元に温泉があるっていいなあ。体だけではなく心もリフレッシュできた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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