京都山科の音羽山麓に位置する「染色工房アトリエ・フジコウ(藤浩)」は、刀剣の刃文紋様をきもの文化で楽しむために、丹後ちりめんの伝統的な技法である“縫取り”で作られた特別企画の「刃文布」をリリース。2023年12月13日(土)〜2月25日(日)18時の期間、Makuakeにて先行販売を実施している。
地域の刀剣文化を再発見
「刃文布」は、新発想の日本刀の美しい刃文や地鉄の表現に取り組み、京都の染めと織の職人が作り上げたもの。「染色工房アトリエ・フジコウ」の60周年記念特別企画「刃文布武プロジェクト」として先行販売を実施している。
「染色工房アトリエ・フジコウ」は、歴史的価値や風情がある山科の魅力を探っているなか、2022年春に刀剣の里・岡山県瀬戸内市の事業者からの依頼で、「国宝太刀無銘一文字(山島毛)」刃文の帯生地を手掛けた。その経験を通し、地元である京都の刀剣文化に目を向けたという。
すると、京都には粟田口があり、優れた刀工の歴史的背景や古代たたら遺跡、祇園祭の長刀鉾鉾頭の薙刀を打った平安時代の刀鍛治・三条小鍛治宗近の史跡などがあり、工房のある地には玉鋼、和鉄の文化が息づいていた。刀剣をテーマにした大人気オンラインゲームの影響もあり、備前長船から始まった刀剣生地の研究開発が「刃文布武プロジェクト」へと発展した。
ゆくゆくは山科の地域プロジェクトになることを次の目標としており、地域の史跡指定を働きかけられるような地域事業者としての社会貢献を念頭に、町づくりの枠組みを目指していくという。
刀剣と着物文化のコラボから誕生
「刃文布」のモチーフである「刃文」とは、日本刀に焼きを入れることで生まれる白く波のような文様で、日本刀の美術的価値を楽しむ鑑賞の大切なポイントとなる。
その刃文の美しさに惚れこんだ「染色工房アトリエ・フジコウ」の染色作家・藤井裕也氏が、「刃文、刃紋」を文様(紋様)として研究を続け、独自草稿をまとめて紋意匠を総合プロデュースし、柴田織物が縫取りを担当した。
京都の伝統産業を担う「染と織」のプロが創り出す新しい生地素材から「刃文布」は誕生。伝統的な丹後ちりめんの織物技法“縫取り”を採用し、日本刀の美しい刃文や地がねの表情を再現している。
日本刀の特徴である金属風の生地を表現するため、緯糸(よこいと)には純銀をコーティングしたポリエステルの特殊糸を5〜10%採用。経糸(たていと)には絹90〜95%の割合でグレー系複数の色の絹糸を組み合わせ、“先染め”の織物として仕上げている。“別染め”を加えることも可能だ。
Makuakeでのサポーターには、「刃文布」を使った「リバーシブル半幅帯」、
「扇子入れと京扇子」、
「古帛紗」、
「ショール」、
「御刀袋」などのリターン品が用意されている。
「染色工房アトリエ・フジコウ」では、SDGsの目標No.9「産業と技術革新の基盤を作る」を掲げ、「刃文布」を通じて刀剣文化と着物文化の未来を創造する一助となることを目指している。生地制作から染色、商品開発や縫製まで一貫して作家がプロデュースすることは和装業界では珍しいが、枠を超えた新しいものづくりに60周年の節目としてスタッフ総出で取り組んでいるという。
新たな価値を創造する取り組み「刃文布武プロジェクト」を応援してみては。
Makuake:https://www.makuake.com
プロジェクト名:刃文の美しさを丹後ちりめんで表現、京都「染と織」職人が送る刃文布武プロジェクト
(山本えり)