日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧大原町(いすみ市)を写真とともに紹介する。
Vol.150/千葉県旧大原町(いすみ市)
鴨川市の旧天津小湊町から、勝浦市と御宿町を越えて、旧大原町へやってきた。旧大原町、旧夷隅町、旧岬町の3つのまちが2005年に合併し、いすみ市になっている。
まずは美しい海岸線近くの岩船地蔵尊を訪れた。地元の方々の信仰を集めている。参拝しようとすると、どこからも気配を感じることなく、おじいさんが突然現れた。とにかくぼくに話しかけ続ける。話だけではなく、物理的な距離感も近く、絶えず歩き続け、表情が緩むと見える前歯が印象的だった。
「ここでお参りしたら、宝くじ当たるよ。俺それで当たったから」
「俺は、ここの管理人だから」
と、捲し立てるのであった。でも、真偽はわからない。地蔵尊で参拝し、宝くじも一応買ってみようかなと思った。
不思議な出会いの後、大原駅周辺を散策した。いすみ市役所や港も近く、港では日曜日に朝市もひらかれるようだ。駅周辺は穏やかな暮らしの時間が流れていた。都会のように早歩きにはならない。自分の歩調でゆっくり歩けばいい。ごく普通の日常が流れていることの尊さを感じた。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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