日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧蓮沼村(山武市)を写真とともに紹介する。
Vol.155/千葉県旧蓮沼村(山武市)
旧蓮沼村へやってきた。村域は平坦地が多く、海岸線は九十九里浜を肌で感じることができる。
今回は蓮沼海浜公園の近くを訪れてみると、ウォーターガーデンや展望塔が広がっていた。夏を想像すれば、子供の声が聞こえてきそうだ。それに、ひとつの公園といっても海岸線に沿って細長く、両端を移動するなら徒歩以外の手段がいいだろうと思った。
その後、『道の駅 オライ・はすぬま』へ向かった。敷地には大漁旗が掲げられた漁船があり、明るさが感じられる。
さらに、道の駅の周辺に田んぼが多いことも印象的だった。海岸線と並行するように、道の駅から太平洋までの平野部で、新田開発が進んだのかなあと。
そして、蓮沼交流センターには「津波避難ビル」の文字も併記されていた。ここは太平洋沿岸部であり、大きな地震への備えも必要だ。
この議論がはじまると、「都市へ引っ越せばいいのに」という意見がよく挙がる。だが、その土地に対する愛着は、「生」に直結している。人間の力は小さい。土地の恵みがあって生きているし、それは生とも、死とも、人生ともつながっている。旧蓮沼村が身近な土地として育った人のことを、ぼくたちは知らないだけだ。土地と歩んできた時間を、想像できないだけだ。だから、地元の方々がその土地と向き合う生き方は、常にリスペクトされるべきだとぼくは思う。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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