日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、千葉県旧八日市場市(匝瑳市)を写真とともに紹介する。
Vol.159/千葉県旧八日市場市(匝瑳市)
旧八日市場市は、2006年に野栄町と合併し匝瑳市となった。実家でテレビを見ていたとき、匝瑳市のニュースが流れたことがある。そのとき父が、「“そうさし”と読むのかあ」と驚いていた。ぼくも同じように、いつ見ても珍しい地名だなあと思う。ただ、元々は八日市場市(ようかいちばし)という市が存在していたことにも驚かされた。市場(いちば)が市の名前だもんなあ。そして、まずは市街地へ。
市街地には古い建物が多く残っており、土地に染み込んだ時間の長さを感じられた。たとえば、和菓子屋の暖簾に「創業天保元年」とあり、計算してみると創業から早190年なのかと思ったり。
さらに、今度は市街地から離れた松山庭園美術館を訪れた。芸術家・此木三紅大(コノキ・ミクオ)氏のアトリエを公開したもので、自然に包まれた穏やかな場所に佇んでいる。
かっこいい正面の入り口をくぐると、建物に入るまでの日本庭園も、和のテイストと独特な彫刻のバランスが魅力的だ。
何より、建物内の見事さにも驚いた。本館に入ってすぐ右手の部屋は、心地よい音楽がゆったり流れていて、椅子も机も飾られた絵も美しく、瀟洒な空間だった。本物の猫も椅子の上で休んでいて、なんとオッドアイだそうだ。
コーヒーをいただくこともでき、「ゆっくりおやすみくださいね」と美術館の方もやさしく仰ってくださった。ここでコーヒーを飲んだら、居心地が良くて、日々の喧騒を忘れてしまうだろう。開館日は金土日なので、週末にゆっくりしたい方はぜひ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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