広島市現代美術館は、展覧会「崇高さに関する抽象的な覚書」を3月30日(土)~6月9日(日)の期間、開催する。
崇⾼さに関する抽象的な覚書について
「崇⾼さに関する抽象的な覚書」は、アーティストの⽥⼝和奈氏が着想したグループショウで、同じくアーティストの松原壮志朗氏が展覧会の構成を担当する。「崇高さに関する抽象的な覚書」は、それ自体が展覧会という枠組みを用いておこなわれる抽象的考察である。
さまざまな作品によって構成
「崇⾼さに関する抽象的な覚書」は、詩人ジョアン・カイガー氏による生涯唯一のヴィデオ作品をはじめ、広島市現代美術館コレクションを含む日本国内の美術館コレクション、日本で初めて紹介されるナンシー・ルポ氏の新作インスタレーションやパトリシア・L・ボイド氏のフォトグラム、1976年よりニューヨークで活動するイワオ・カゴシマ氏のペインティング。またミュージシャンでもあり占星術史でもあるエミリア・ワン氏の詩など、さまざまな作品によって構成される。
カイガー氏のヴィデオ作品がインスピレーション
ジョアン・カイガー氏は、アメリカ現代詩におけるさまざまな派閥と広く交流をもちながらも、独自のスタイルを確立した詩人であった。ビートニクの運動がそうであったように、彼女の作品も「瞑想」や「仏教」、とりわけ「禅宗」からの影響を受けている。カイガー氏は1968年にデカルトの「方法論」を題材にした詩『DESCARTES AND THE SPLENDER OF A real Drama of Everyday Life. In Six Parts.』をもとに『デカルト』と題したヴィデオ作品を制作している。このカイガー氏の残した生涯唯一のヴィデオ作品とストーリーが、「崇⾼さに関する抽象的な覚書」の霊感(インスピレーション)であり、かつ骨子である。
「崇⾼さに関する抽象的な覚書」の構成では、“グループショウという枠組みを捉え直し、その上でグループショウの可能性を模索すること”“「近代美術」あるいは「現代美術」というカテゴリーの垣根を越え、作品の固有の振る舞いが、場の特性の中で静かなダイナミズムを生み出すこと”の主にふたつのことを試みる。
また、「崇⾼さに関する抽象的な覚書」自体がひとつの言外のマニフェストとなることを意識した。
なお、出品作家、関連プログラム、その他詳細については公式サイトで確認できる。
この機会に、「崇高さに関する抽象的な覚書」をチェックしてみては。
■崇高さに関する抽象的な覚書
会期:3月30日(土)~6月9日(日)
開館時間:10:00~17:00※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
会場:広島市現代美術館
住所:広島県広島市南区比治山公園1-1
観覧料:一般1,100(850)円、大学生800(600)円、高校生・65歳以上550(400)円、中学生以下無料
前売券:3月29日(金)まで
販売場所:広島市現代美術館受付、オンラインショップ「339」、チケットぴあ「Pコード686-838」
公式サイト:https://www.hiroshima-moca.jp/
※()内は前売り及び30名以上の団体料金
(角谷良平)