日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧千代川村(下妻市)を写真とともに紹介する。
Vol.187/茨城県旧千代川村(下妻市)
下妻市の市街地から南に進み、旧千代川村に入った。1955年に誕生した村で、2006年まで約50年間、存在していた。関東平野の平坦な土地で、中央部には鬼怒川、東の境界沿いには小貝川がそれぞれ南へ流れている。
まずは市街地の宗道を訪れた。旧千代川庁舎や千代川公民館の位置する付近には宗道神社があり、境内から背の高い木があふれんばかりに聳え立ち、穏やかに風に揺れていた。その後、宗道駅まで行ってみる。関東鉄道常総線の駅で、少し古い駅前の雰囲気も感じられる。でも、周辺を歩くと新しい戸建ての住宅も少なくない。少しずつ入れ替わりながら、まちも変遷しているのだろう。
宗道の市街地にあったコンビニの店名を見てみると、「鬼怒店」とあった。地図を見ても鬼怒川が近い。「鬼怒川」がひとつの固有名詞だと思っていたけれど、「鬼怒」という地名があって、川がついているのだなあと。この周辺も、かつては鬼怒川舟運の河港としてにぎわったという。今では想像しづらい「舟運」も、当たり前の時代があったことを、旅をしていて感じることがある。ただ、現在はそうではないから、まちの姿も自然と変わっていく。いずれにせよ、ささやかな変遷にも、所以があるというわけだ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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