日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧東町(稲敷市)を写真とともに紹介する。
Vol.199/茨城県旧東町(稲敷市)
稲敷市で最も東に位置しているのは、名前の通り旧東町。「東町」や「東村」という地名に出会う頻度は多いし、読み方は地域によって異なるので、どっちだったっけ、となることも多い。ここでは、「あずままち」として存在していた。
徐々に太平洋も近づいてきて、穏やかな田園風景の中を進む。途中、新利根川の静かな流れが綺麗でカブを停めた。ほとんど流れているかどうかわからないぐらい、静かな川の流れで、何より特徴的なのは、川の縁が人工的な堤防などになっておらず、自然の植物が川と共生していること。北海道の湿原のようなイメージと近いかもしれない。要は、自然のままの姿で。
川に沿って、横利根閘門ふれあい公園へ向かった。公園に近づくにつれて、川で釣りをしている人たちを多く見かけた。ある人はパラソルの下で、ある人は小舟に乗って。いずれも地元のカルチャーとして日常のように溶け込んでいて、釣りというものは外から見ていると静かに見えるけれど、全く退屈げな雰囲気ではなく、むしろ明るい雰囲気が流れていた。
横利根閘門(よことねとうもん)は、煉瓦造りのかっこいい閘門だった。水位を調整する堰でもあり、水位を調整して船を運航させる施設でもあるという。川同士でいつの間にか高低差が生まれているというのも面白いし、それを攻略する人間の知恵も見事だ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247/