日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧緒川村(常陸大宮市)を写真とともに紹介する。
Vol.233/茨城県旧緒川村(常陸大宮市)
旅では事前に訪れる場所を決めるときと、そうではないときがある。そうではないときは、旧市町村の庁舎を目指し、そこから散策の方向性を決めていくことが多い。どんな場所でも旧市町村の庁舎があることは、この旅における大きな発見だった。閉館している場所もあるけれど、ほとんどの場所では地域センター、総合支所、総合事務所といった、それぞれの拠点が残っている。そして、およそそういう施設はまちの中心部に近いのだ。違うこともあるけれど、この傾向は旅をしていれば明らかである。そこで、旧緒川村でもまずは緒川地域センターへ向かうことにした。
緒川地域センターはやや小高いところに建っていたのだが、そこへ登っていく手前の道で、細いまっすぐの通りが気になった。雰囲気が違っていて、そこに昔の時間が残っているように感じられたのだ。なので、地域センターを訪れたのち、通りを散策してみた。空き家もあったけれど、空き家はもう、どのまちを訪れていてもほとんど出会ってしまう。それよりも、ここにある暮らしの声を想像して歩く方が楽しい。通りではご近所さん同士の会話があったり、石垣から花が溢れていたり、暮らしの息遣いも残っていて、日常が感じられた。自分の知らない土地で暮らしが広がっていることの集積が、国という姿であるように思う。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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