日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧山方町(常陸大宮市)を写真とともに紹介する。
Vol.235/茨城県旧山方町(常陸大宮市)
旧美和村から旧山方町に向かった。旧美和村は山に囲まれた山村というイメージだったが、旧山方町では、おおきな川によって景色がドンとひらけた。流れているのは久慈川だ。久慈川は那珂川と合流することもなくそのまま太平洋へ流れ出ていく。今まで、たとえば千葉県北部や茨城県南部なら、だいたいの川が利根川に合流していたし、ここ数日出会う川も那珂川に合流することが多かった。久慈川が久慈川で独立しているということが、もちろんあたりまえではあるのだけれど、ぼくにとっては面白く感じられた。昔は水運が盛んだったはずだから、水流が違えば運ばれるものも異なったはずだ。それが文化や生活にも、違いをもたらしていたのではないかと思う。
昼時だったので、原付を走らせながら目に留まった定食屋で昼食を取ることにした。食事をどうするかは日々考えることが多いけれど、特に昼食のときは、何も調べずに出会ったお店に入るのも良い。レビューや口コミを頼ってお店に入ることは、満足を得るためにだいじな手段のひとつだけれど、旅においては、それがすべてでは面白くない。何の先入観もなく出会ったお店に入ってみることも、旅の醍醐味ではないだろうか。お店に入ると火野正平さんがテレビ番組で訪れたという紹介もあった。それは、あの番組ではないか。ふと足を運んでみると、面白い出会いや発見があるものだ。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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