日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧瓜連町(那珂市)を写真とともに紹介する。
Vol.242/茨城県旧瓜連町(那珂市)
一日の旅路の中で、那珂市の旧瓜連町を最後の訪問にしていた。数日前にまちのことを調べていたら、「あまや座」さんという映画館があると知ったのだ。わあ、まちにミニシアターがあるって、なんて素敵なんだろうと思って、上映時間に合わせて行こうと思ったのだった。先に市街地を巡っていくと、静かな暮らしの気配が流れている。お寺の近くに草刈りのチラシが貼られていて、「旧瓜連町の方対象」と書かれてあった。この土地にはまだ、瓜連という地名が残っているのだなあと思う。
訪れた時期は映画界の巨匠、ジャン=リュック・ゴダールが亡くなった後のタイミングで、追悼映画祭をやっていた。ぼくはゴダールの作品を知らずに育っていたので、あまや座さんで初めてゴダールの作品を観た。
どんどん移り変わる展開や、音と映像のずれ、光の美しさ。もちろん、ひとつの作品を見ただけでは、まだまだゴダールのことはわからないのだな、ということが、わかった作品だった。でも、わかろうとするというより、いっぱい見てみるのが、何よりなんじゃないかな。
そして、とにかく、あまや座さんがいろんな方々に愛されていることが、館内の様子からたくさん感じられて、いいなあと何度も思った。映画が始まる前の注意喚起の動画も、あまや座さんのオリジナルムービーが流れていて、それもすごく素敵だった。
旅先で映画を観るという初めての経験、自分でもちょっと不思議、いいね。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247/