日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、茨城県旧十王町(日立市)を写真とともに紹介する。
Vol.243/茨城県旧十王町(日立市)
日立市と高萩市に挟まれた旧十王町が、日立市に編入したのは、2004年11月のこと。海から山まで東西の地域が含まれていて、地図を見ても十分な広さがある。それに「十王」という名前もあまり見慣れない。十王町の前身は十王村だったそうだが、「10人の王を祀る十王信仰の仏像があった」という江戸時代の日記が残っているそうだ。
千葉県を旅していたときも、ここ数日、茨城県の海側を巡っていたときも、太平洋がスカッと晴れたことがあまりなかった。それがついに、ようやく気持ちの良い海が顔を出してくれた。海と内陸をそれぞれ走る。
海として訪れたのは、伊師浜海水浴場だ。青空の下、気持ちのいい海の青と砂浜が広がっていた。波打ち際に岩があるようで、ぶつかった波は生き物のようだ。
さらに今度は市街地へ向かう。その道中、見晴らしの良い緑の景色が続いて、とても気持ちが良かった。カブを停めて写真を撮っていた間、スーツ姿の男性が自転車で通り抜けたけれど、この道を通勤するのも気持ちいいだろうなあ。
十王支所近くの市街地は落ち着いた住宅が広がっていた。そして、支所でふと「十王町民の歌」を見つける。町民の歌があるっていいなあと、しみじみ思う。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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