日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県白河市を写真とともに紹介する。
Vol.251/福島県白河市
栃木県に面する東北の玄関口、白河市へ訪れた。前日から白河駅近くのゲストハウスに滞在する。館内に入ると、黒板にチョークで、ようこそと名前を入れてくださっていた。大きな宿やホテルの玄関口で、そうした歓迎の文字を見かけることはあるけれど、ゲストハウスでもそうした意気なことをしてくださることに、嬉しくなる。のちにスタッフさんと仲良く話しているうちに、旧東村のホタルまつりへ連れて行ってもらうきっかけも生まれたのだった。
白河市には新幹線が停車する新白河駅と、東北本線の白河駅があるわけだが、市街地は白河駅周辺だと言える。裏手の丘陵地には白河小峰城跡がそびえたつ。石垣が立派で、城跡からは市街地を見渡すことができた。町並みは変わっていても、城と暮らしの位置関係は変わっていない。
市街地を散策したのち、地元の蕎麦屋を見つけたので入ってみることにした。店内には「来て」や「味わって」といった福島県のポスターが貼られている。その写真を見ていると、東北地方にやってきたことを肌で感じた。つい先日まで、ずっと関東地方を巡っていた。白河の関をこえて東北にやってきたとはいえ、旅先では毎日違う景色に出会う。だから、景色は違ってあたりまえであり、その実感の手応えが少し鈍くなっていた。だが、地元のお店に入り、店内の雰囲気から今までとは大きく違う土地にいることに、はっきり気づいた。土地があたりまえに感じている「何か」が違う。蕎麦もそうだ。すすりながら、東北の旅が始まったことを思う。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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