日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧北会津村(会津若松市)を写真とともに紹介する。
Vol.258/福島県旧北会津村(会津若松市)
会津若松市街地を西に進み、阿賀川を渡った先にあるのが、旧北会津村だ。真っ直ぐな道が多く、朝の光を浴びた見事な水田が広がっていた。田んぼの中に佇む、田村山古墳を目指す。ほとんど平らな土地だが、わずかにこんもりと膨らんでいる箇所があり、木が一本立っている。小さな古墳に見えたが、実際は全長25mほどの前方後円墳とのことだった。かつて近くには高さ60mほどの丘もあったものの、農地開発によって掘削されてしまったと。広々とした農村の光景だけではなく、ほんとうは違う姿もかつてはあったのだ。
その後、北会津支所と周辺を散策した。田んぼを中心とした道路から住宅地の方角へ折れると、静かな暮らしの気配が広がっている。田んぼが見える道はほとんど直線だったけれど、住宅街は不規則にカーブが続いていた。農地開発との時期の違いだろうか。そして、集落を再び抜けると、また広々とした田んぼが現れるのだった。旧北会津村は、こうした小さな集落が、田んぼの中に点在していると言える。暮らしと水田が交互に広がっているような、景色のメリハリが不思議だった。水田の奥には遠い山並みが重なり合い、たっぷりと水分を含んだ雲がもくもくと浮かんでいる。自然の壮大さもそばにある暮らしである。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
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