日本中では目まぐるしく、日々いろんなイベントがひらかれている。「そんな日本には、どのような土地があるのだろう」と、写真家として活動している私(仁科勝介)は、“平成の大合併”時に残っていた、旧市町村をすべて巡る旅に出た。その数は2000を超える。
今回、地域や自治体、企業の取り組み、新商品などの情報を発信するニュースサイト「ストレートプレス」で、それらを紹介する機会をいただいたので、写真を添えて連載をスタートした。
「ストレートプレス」内に登場するローカルな市町村と、関係があるかもしれない。
今回は、福島県旧安達町(二本松市)を写真とともに紹介する。
Vol.276/福島県旧安達町(二本松市)
二本松市の旧東和町を訪れたあと、二本松市在住の方にお会いし、まちを案内していただけることになった。仕事がお休みの日ということで、まずは昼食へ。地元のレストランへ連れて行ってもらい、洋風で懐かしい雰囲気の中、美味しいチキン唐揚げ定食を食べた。やっぱり、自分一人ではこういうお店を見つけられないような気がする。地元の方たちの日常の空気感に入ることが嬉しい。
それから旧安達町と二本松市内を案内していただいた。まず最初に連れて行ってくださったのは、旧安達町。油井という地区へ。
油井には「高村智恵子純愛通り」という通りがあった。高村智恵子は、明治から大正にかけて活躍した洋画家だ。生家がこの地域にあたる。夫は詩人の高村光太郎で、夫婦の日々は「智恵子抄」といった作品にも残されている。語られる大きなテーマは「愛」。その「愛」の中にも、ほんとうにいろいろな感情が込められている。まだ作品をいろいろ知らなかったので、これから読んでみたい。
さらに散策している中で、神社へ登っていく石段があったので、途中まで上がっていった。振り返ると、低い丘陵地が背後を固め、薄いながらカラフルな色をした屋根や壁の家並みが見えた。ここからの風景には町らしさを感じる。四季の移り変わりを見ることができたら、ささやかな日常の美しさがもっとわかるような気がした。
(仁科勝介)
仁科勝介(Katsusuke Nishina にしなかつすけ)/かつお
写真家として活動。1996年、岡山県倉敷市生まれ。広島大学在学中に、日本の全1741の市町村を巡る。
『ふるさとの手帖』(KADOKAWA)、『環遊日本摩托車日記(翻訳|邱香凝氏)』(日出出版)をはじめ、2022年には『どこで暮らしても』(自費出版)を刊行。
旧市町村一周の旅『ふるさとの手帖』:https://katsuo247.jp
仁科勝介公式Twitter:https://twitter.com/katsuo247
仁科勝介公式Instagram:https://www.instagram.com/katsuo247